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まとめ〜慰謝料請求裁判の判決に見る「ペットはあくまでも物の欧米」、「ペットを人以上に扱う日本」、







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 記事、
判決に見る「犬はあくまでも物のドイツ」、「犬を人並に扱う日本」
猫をエアライフルで撃った男を器物損壊罪で軽い処罰としたドイツの地裁判決〜ドイツの司法判断は動物は物扱い?
犬の過失致死での損害賠償額はドイツは日本より著しく低い〜猟犬の射殺での損害賠償額は16万円台
犬の交通事故死で飼主は加害者に慰謝料を請求したが最高裁は棄却した〜オーストリア
アメリカのほとんどの州ではペットの死傷での慰謝料を認めていない
アメリカで過失で犬を死なせたことにより慰謝料が認められた例外的な判決
アライグマのわなで死んだ犬の損害賠償額は5万円余で慰謝料請求は棄却された〜インディアナ州控訴審判決
アメリカの州最高裁判決ではペットの死の慰謝料を否定、また物損額の認定は著しく低い
アメリカ州最高裁判決「故意で犬を射殺された飼主への賠償額は155$(1万7,000円台)だった」
ペットの殺害での損害賠償額は欧米は驚くほど低い〜アメリカ
ドイツ連邦裁判所(終審)では犬の交通事故死での慰謝料を「論外」として棄却した
「物の毀損とペットの死」は近親者の死亡とは厳格に区別され慰謝料はありえない〜ドイツ高裁判決
ペットの殺害での損害賠償額は欧米は驚くほど低い〜ヨーロッパ
「警察官が捜査中に犬を射殺するのは合法で憲法の財産権の侵害には当たらない」とのアメリカ合衆国連邦裁判所判決
市の職員が庭から無断で飼犬を持ち去り殺処分することが合法なドイツ
続・市の職員が庭から無断で飼犬を持ち去り殺処分することが合法なドイツ
渋谷寛愛誤弁誤士の精神疾患が疑われるドイツ民法の解釈(笑)
ドイツ連邦裁判所は民法の規定により犬の死による慰謝料請求を棄却した〜「ドイツでは民法によりペットの死での高額の慰謝料が認められる」という渋谷寛弁誤士の真逆の解説
「ドイツ民法90条a『動物は物ではない』は動物に法的な利益をもたらさない」とし、改正を求める署名
ペットの死で慰謝料が認容される特異な日本〜他国では見られない民法710条の規定
欧米ではありえない慰謝料請求で近親者よりペットを優遇する日本
の続きです。
 渋谷寛弁護士は「日本は法的な感性は欧米に比べてそうとう遅れていて、ペットを何らかの事情により殺された場合の飼い主の慰謝料については裁判上も認められていますが認容額は極めて低い」と述べています(明治大学法曹界 会報(平成14年5月30日発行)に掲載 ペット法学会に参加して 弁護士 渋 谷  寛)。つまり「欧米ではペットを殺された場合は日本よりはるかに高い慰謝料が認容されている」です。しかしそれは真逆の大嘘です。本記事はこの連載のまとめです。



 愛誤弁誤士、渋谷寛氏のサマリーでも述べた問題のある資料の記述ですが、以下に引用します。明治大学法曹界 会報(平成14年5月30日発行)に掲載 ペット法学会に参加して 弁護士 渋 谷  寛


ペットに関する我が国の法的な感性は欧米に比べてそうとう遅れていうるといえましょう。
ドイツ民法典(BGB)第九〇条a1文には「動物は物ではない。」(1990年改正、2文・3文省略)。物と動物の違いに着目しているのです。
日本では動物はあくまでも(不動産以外の有体物なので)物の中の動産に分類されます(民法第85条・86条参照)。
しかし、生命をやどしているか、痛みを感じることができるか否か、この違いを無視すべきではないと思います。
今後我が国においても動物の法律上の地位を可及的に人間と同等に向上させるべきであると考えています。
ペットを何らかの事情により殺された場合の飼い主の精神的苦痛即ち慰謝料については、裁判上も認められていますが、認容額は極めて低く数万円にしかならないことが多いようです。
今年の3月28日、宇都宮地裁第1民事部(合議)において、飼いネコを獣医の避妊手術のミスで死亡させられた事例で、ネコの価格賠償50万円、買い主の慰謝料20万円、その他解剖費・弁護士費用等も含めて合計93万円あまりの賠償を命じる判決が出て新聞にも掲載されました。
ペットの死亡事故の賠償慰謝料額も時代の変化を反映して増加しつあるように思えます。
動物が命を絶たれることなく怪我をしたにとどまった場合はどうでしょうか。
動物の精神的苦痛それ自体を損害と考え動物自身の慰謝料を認めることができるのではないかと考えています。



 上記の渋谷寛弁護士の、「日本は法的な感性は欧米に比べてそうとう遅れていて、ペットを何らかの事情により殺された場合の飼い主の慰謝料については裁判上も認められていますが、認容額は極めて低い」=「欧米ではペットの死亡での飼主の慰謝料は日本と比べてはるかに高額が認容されている」は、真実とは真逆も真逆、正反対の大嘘デマであることを連載記事で書いてきました。まとめると次のとおりです。

1、ペットの死による慰謝料請求訴訟においては、アメリカ、ドイツ、オーストリアでは終審で棄却されている。スイスでは下級審で棄却された判決しかない。
2、ドイツ、オーストリア、アメリカの大多数の州の法律の規定で慰謝料の請求権があるのは人に限られ、近親者でもごく近い関係にある者だけとしている。兄弟は原則として除外。
3、学説においてもこれらの国では慰謝料請求ができるのはごく近い近親者の「人」に限られるとし、物は除外される(アメリカのごく一部の州では例外的なケースで動産の損壊での慰謝料請求を認めているが、他の動産に動物が優越するとの規定はない)


 その他経済的損失に限っても、日本でのペットの不法行為による死では適正な評価がされておらず、実際の損害額に比べて賠償額が高額である傾向が見られることも私は指摘しました。したがって、死による慰謝料請求においては「欧米はペットはあくまでも他の動産と同じ扱いで日本は人以上に優遇している」が真実なのです。まさに澁谷寛弁護誤士の、「日本は法的な感性は欧米に比べてそうとう遅れていて、ペットを何らかの事情により殺された場合の飼い主の慰謝料については裁判上も認められていますが、認容額は極めて低い」=「欧米ではペットの死亡での飼主の慰謝料は日本と比べてはるかに高額が認容されている」は、真実とは真逆も真逆、正反対の大嘘デマです。
 根拠となる法令として渋谷弁誤士はドイツ民法90条a を挙げていますが、その解釈は荒唐無稽で無茶苦茶です。判例、学説も挙げず、真実とは正反対の大嘘でデマを公に拡散するとは、悪質な言論テロと言わざるを得ません。

 さらに看過できない記述があります。「動物が命を絶たれることなく怪我をしたにとどまった場合はどうでしょうか。動物の精神的苦痛それ自体を損害と考え動物自身の慰謝料を認めることができるのではないかと考えています」です。
 この見解だと「動物が死亡せず受傷で済んだ場合、飼い主が代理人のごとく損害賠償請求することを認める」ことになります。しかし生者の慰謝料請求権を他者が行使できるのは法定代理権がある場合に限られています。たとえば被害者が未成年の場合は親権者が法定代理人となります。被害者が成人の場合は例えば認知症などで意思能力が低下した場合などは成年後見人が代理権がありますが、裁判所の審判が必要など容易ではありません。人ですら他者の慰謝料請求権を行使することは容易には認められていません。法の権利の主体とはなりえない動物(渋谷寛弁誤士はドイツ民法90条aを「人と動物の法的地位が同等」との根拠にしていますが解釈が全くの荒唐無稽なデタラメです)に認めるのは、論理が飛躍しすぎています。

 欧米では完全に否定されている、動物の死での慰謝料請求ですが、日本では裁判で認容される金額が高額化している傾向にあります。繰り返しますが、日本では動物の死での損害賠償では、物損の算定は他の動産に比較して適正な市場価値が反映されておらず高額です。さらに渋谷弁護士らは「欧米では動物と人との法的地位は同等で高額な慰謝料が認められている」という荒唐無稽なデマを拡散して、より以上の高額が認められるべきと主張しています。その上死亡に至らなかった場合においても、飼主の法定代理権(?)を認めて慰謝料を認めるべきとすら主張しています。
 これがは何を意味するでしょうか。現在の獣医師の医療過誤に対する慰謝料を含めた損害賠償や、動物の時価をはるかに超えた賠償額が司法で認容されたことに対しては、獣医師等が懸念を表しています。当然獣医師はそのリスクに備えるために診療価格を上げるでしょう。また獣医師が加入する賠償保険の掛け金が高くなります。それも獣医診療費の価格上昇に繋がります。一般の飼主にとって不利益になる可能性があります。
 さらに犬猫等の死による慰謝料の高額化や経済的損失の賠償額が市場価格を無視した高額が認められる司法判断が続けば、経済的無価値な犬猫を用いた恫喝事件を誘発する可能性すらあります。たとえば入手価格がタダ同然の雑種犬を故意に自動車に轢かせて高額の損害賠償金を強要するなどです。

 私は澁谷寛弁誤士の、問題の文書を読んで大変驚き、まさに目が点になりました。この「ペット法学会」の参加者は知能知識と精神が正常に満たないのではないかと。ごく一般レベルのコモンセンスさえあれば、ありえない主張でしょう。
 「ペット法学会」ですが、私は以前にもメンバーのデマ発言や、違法行為について記事にしています。例えば吉田眞澄氏は「欧米では野良猫の餌やりは無制限やりたい放題で良いこととされている。それを制限しようとするのは欧米人にとっては野蛮と思われる」という真逆のデマにより、京都市の条例の立法に圧力をかけました。例えばアメリカやカナダでは野良猫の餌やりは無条件で違法とされ、懲役1年以下で処罰される自治体もあり実際に収監された人が何人もいます。任意団体でありながら特定非営利団体法人を騙り、寄付金を詐取していた団体の顧問弁護士もいます。メンバーのマスコミの発言はことごとくデマです。また新美育文教授は、環境省の審議会座長ですが、まとめた資料は嘘の羅列です(例えば「ドイツでは犬猫は民間が保護し行政は行わない」など。ドイツは犬猫等の一次収容は行政と法律で明記され、他国と比べて動物管理では行政の権限関与が極めて高い国です)。
 「ペット法学会」はメンバーが知能知識と精神が正常に満たないのでしょうか。それとも意図的な悪質な言論テロ集団なのでしょうか。


(画像)

 明治大学法曹界 会報(平成14年5月30日発行)に掲載 ペット法学会に参加して 弁護士 渋 谷  寛 
 私はこの文書を初めて読んだときに目が点になりました。この文書を書いた渋谷寛弁誤士は当然のことながら、この「ペット呆学会」に参加したメンバーの知能知識と精神が到底正常に満たないと思いました。か、超悪質なデマ情報で世論操作を企てる言論テロ団体か?
 驚くべきデマ情報のてんこ盛りの環境省審議会の座長の新美育文教授の名前もあります。この方の知能知識と精神も正常に満たないと推測します。ドイツは1991年には狂犬病が3,500例もありました。そのような国で「民間が犬猫の保護をし行政は行わない」訳がないです。ドイツは犬猫等の一次収容は行政で、公的な動物収容所がもちろんあります。そこでの殺処分もあります。まとめ・あまりにもひどい環境省と外部委員の無知蒙昧無学~「カエルの面に小便」をかけ続けなければならない理由

 ペット呆学会
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「庭の植物で地域猫が中毒を起こしたら」~地域猫活動家は植物の損害を賠償しなければならない






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 記事、
庭の植物で地域猫が中毒を起こしたら…訴えられる?~殺処分ゼロ議員連顧問弁護士の狂気
続・庭の植物で地域猫が中毒を起こしたら…訴えられる?~殺処分ゼロ議員連顧問弁護士の狂気
「財産被害の防止のためならば私有地内に侵入する猫を殺傷することが合法」が国際的なスタンダード~殺処分ゼロ議員連の顧問弁護士の狂気
の続きです。
 「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」の顧問弁護士、渋谷寛氏ですが、過去にも多くの、仰天するような発言等を行っています。最近も「庭の植物で地域猫が中毒を起こしたら損害賠償請求で訴えられる」という妄論を述べています。しかし過去の裁判例からは、逆に「庭に地域猫を侵入させて植物に被害を及ぼした地域猫活動家」こそ損害賠償で訴えられ、庭の所有者に賠償しなければならないと考えるのが妥当です。



 私の前回前々回記事で取り上げた最近の渋谷寛弁護士の妄言、「庭の植物で地域猫が中毒を起こしたら訴えられる」についてです。記事、庭の植物で地域猫が中毒を起こしたら…訴えられる? 2020年10月9日 から、該当する箇所を引用します。


家の庭にある植物の中には、猫に有害といわれるものもあります。
もしも、その庭に地域猫たちがときどき入ってきて、植物を口にして食中毒などを起こした場合。
その庭の所有者が訴えられることはあるのでしょうか?
場合によっては賠償請求されることも
たとえば、庭にくる地域猫に害を与えようと、わざと有害な植物を置いている場合。
またわざとではなくても、植物の毒性が強く、たびたび死亡事故が起こっている場合などです。
庭の植物について団体から相談されても頑として対応しないなど権利を侵害しているということになれば、民法709条が適用される可能性もなくはありません。
不法行為による損害賠償
民法第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
参考/「ねこのきもち」2020年3月号『もしものときの猫の法律相談所』(監修:渋谷総合法律事務所 ペット法学会事務局次長 弁護士 渋谷 寛先生)



 今までの連載記事で私が述べたことは次の通りです。「地域猫は飼い主がない猫=無主物である。したがって地域猫が死傷した損害については、地域猫活動家にはその損害を求める訴訟において原告の当事者適格がない」。「地域猫が庭の植物を食べて中毒を起こした損害以前に、地域猫が植物を毀損した加害行為により地域猫活動家が庭の所有者に訴えられる可能性が高い」。「海外の法令、司法判断では概ね、私有地に侵入する猫などからの財産被害を防止するためであるならば殺傷が合法」などを述べました。
 「地域猫が地域住民の庭の植物で中毒を起こした」件については、日本ではまだ民事訴訟は提起されたことはないと思われます。今回記事では、同類・同系統の民事訴訟の判決により、本件について考察したいと思います。

 まず地域猫ですが、「行政が認めた、自由に徘徊する無主物の猫を民間団体で管理をおこなう活動」です。「無主物(*1)の、自由に徘徊する動物を民間団体が管理を行うもの」としては、財団法人奈良の鹿愛護会(以下、「鹿愛護会」と記述する)があります。奈良公園と春日大社付近の鹿は天然記念物の野生動物=無主物ですが、鹿愛護会は傷病鹿の保護、鹿の角切りなど行って観光客への危険を防止するなどの高度な管理を行っています。また奈良県は鹿愛護会に補助金を支給し、援助しています。さらに助言支援活動も行っています。
 この奈良の鹿愛護会の活動は、「無主物の、自由に徘徊する猫の不妊去勢などの高度な管理を行い、行政が制度として認め、補助金を支給する自治体もある。管理するのは民間団体である」ことを特徴とする、地域猫活動と「同類・同系統」と言えます。奈良の鹿と鹿愛護会は、周辺農家に鹿の加害により訴えられた裁判例があります。

(*1) かつて宗教法人春日大社は周辺の鹿の所有権を主張していましたが、現在では取り下げています。鹿による農業被害の損害賠償を求める昭和56年の第二次訴訟和解が成立し、以降は宗教法人春日大社には鹿の所有権はないとされています。鹿愛護会には鹿の所有権はないとの司法判断は、昭和54年の第一次鹿害訴訟の判決が確定しています(奈良の鹿)。

 この奈良の鹿ですが、しばしば周辺の農家の農作物を食害し、加害していました。そのために周辺農家は、宗教法人春日大社と鹿愛護会に対して複数回の損害賠償訴訟を提起しています。第一次訴訟では、奈良地裁は宗教法人春日大社と鹿愛護会に対して訴えのうち、慰謝料以外についてはほぼ全額を容認し、被告の宗教法人春日大社と鹿愛護会に、原告農家に対して損害賠償の支払いを命じました。その判決要旨を引用します。◆「鹿の所有者は誰か――神鹿による被害第一次訴訟(昭和58.3.25奈良地判) 昭和54年(ウ)第96号損害賠償請求事件


昭和54年(ウ)第96号損害賠償請求事件
原告 鹿によって耕作物に被害を受けた奈良公園周辺の農民12名
被告 宗教法人春日大社及び財団法人奈良の鹿愛護会
訴えの内容 被害額、鹿害防止費用及び10%の弁護士費用の損害賠償330万円の請求。
判決 慰謝料部分の請求以外をほぼ全面的に認容。220万円と、その遅延賠償金の支払命令。



 この訴訟では、被告の鹿愛護会は鹿にかかわる活動を、「親好文化伝承と野生動物を含む自然保護という国民的責務による慈善行為であり鹿の管理責任はなく、農業被害に対する損害賠償の支払い義務はない」と主張しました。しかし裁判所は、鹿愛護会の活動は、鹿の管理責任を問うべきであると認定しました。
 かねてより鹿愛護会は、鹿の所有権を主張していません。また司法も鹿愛護会には鹿の所有権を認めていません。奈良の鹿はボウガンで殺害された事件(犯人は文化財保護法違反で有罪)、自動車事故で死ぬ、ビニールなどを誤食して死ぬなどの事故がたびたびあります。鹿愛護会はそれらの鹿の殺傷については、鹿を殺傷した者に対して一度も損害賠償請求の民事訴訟を提起したことはありません。鹿の所有権がなければ、鹿が殺傷されたことにより鹿愛護会の損害は生じないからです。

 この一連の鹿愛護会と周辺農家との裁判を、渋谷弁護士の発言に当てはめるとこうなります。「鹿が周辺農家の農作物をビニールマルチや農薬ごと食べて中毒を起こして死傷した」として、鹿愛護会が農家に損害賠償を求めるのと同じです。さらに渋谷弁護士は、「鹿愛護会は周辺農家に鹿に有害なもの(ビニールマルチや農薬)の使用をやめさせる権利がある」と主張しているのと同じです。渋谷弁護士の発言がいかに妄論か、ご理解いただけると思います。鹿愛護会=地域猫活動家、農家=地域住民で庭の植物を猫に食べられた人、となるからです。
 「庭の植物で地域猫が中毒を起こしたら(庭の所有者が)訴えられる」との渋谷弁護士の発言はまずありえません。むしろ地域猫活動家が庭の所有者に訴えられる可能性が高いです。「植物で中毒を起こす」に至るには、食べられた植物の毀損は当然ありますし、相当の回数で庭に侵入し植物を踏み荒らし、糞尿被害もあったと考えるのが当然です。

 なお鹿愛護会らが、鹿による農業被害で訴えられた裁判では、。第二次訴訟では和解が成立しています。和解の中では、「鹿愛護会とともに奈良県、奈良市が協力して農業被害防止に協力する」ことが当事者間で合意されています。例えば鹿の侵入を防止するための有刺鉄線や電気柵の設置を農家が行う場合は奈良市が補助金を出しています。さらに奈良氏は猟友会に委託し、農業被害が発生している地域の鹿の捕獲、さらには殺害駆除も行うこととしました。
 ですから地域猫活動家は、被害を受けている庭に猫の侵入防止策を庭の所有者が講じることに対して資金援助するなどして、猫が庭に侵入させないようにすることが必要です。ちなみにアメリカ合衆国ではアニマル・コントロール・サービスという行政組織があり、徘徊猫を捕獲し、アニマルシェルターに収容して殺処分しています。TNRマネジメントを制度化している自治体でも、猫により地域住民から苦情があれば、アニマル・コントロール・サービスがTNR猫であっても捕獲殺処分する権限がありますし、実際に行われています。いかに渋谷寛弁護士の発言が荒唐無稽でとんでもない妄論であるかが、お分かりいただけると思います。


(動画)

 200万円以上するものも 盗難被害が相次ぐ多肉植物の高額品種「ハオルシア」 2017/12/08公開

 きわめて高価なユリ科の多肉植物、ハオルシア。1鉢200万円超のものも。成長が極めて遅いので、それも高価な理由です。猫がかんだり踏んだりすればすくダメになるでしょう。渋谷弁護士は地域猫が園芸植物に被害を不問だともとれる発言をしています。まさに狂気の猫だけ愛誤思想です。このような妄論を発言する方が環境省の外部委員や動物愛護管理法の改正にかかわっているのです。日本の動物愛護は狂気です。

続・地域猫活動家は損害賠償責任を負うのか~地域猫の管理責任を問う



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 記事、
動物愛護管理法の犬猫引取り制限は改悪だったのか~猫被害の増大をもたらした
地域猫活動で野良猫は減少するのか~地域猫の管理責任を問う
続・地域猫活動で野良猫は減少するのか~地域猫の管理責任を問う
「犬猫の殺処分を行う必要がある」が国民の大多数の意見~地域猫の管理責任を問う
地域猫活動家は損害賠償責任を負うのか~地域猫の管理責任を問う
の続きです。
 前回記事では、野良猫の餌やり行為により、被害が生じたとして餌やり行為者を相手取り、損害賠償を求めた民事訴訟について述べました。前回記事でとりあげた裁判では、被告(餌やり行為者)の一般不法行為(民法709条)を認め、損害賠償の支払いを命じました。では、地域猫活動では、猫による被害が生じた場合は、地域猫活動家は損害を賠償しなければならないのでしょうか。結論から言えば、私は「状況によってはある」と判断します。



 前回記事、地域猫活動家は損害賠償責任を負うのか~地域猫の管理責任を問う、では、野良猫への餌やりにより被害が生じた場合の、餌やり行為者が被害者に対して損害賠償責任を負う法的根拠について述べました。

・一般不法行為
~民法709条に基づく。
餌やり行為者(加害者=被告)の故意・過失と、餌やり行為と被害の因果関係を、猫被害者(原告)が証明しなければならない。

・特殊不法行為
~民法718条に基づく。
餌やり行為者(加害者=被告)が、猫被害の原因となった猫を「占有していた(相当の管理を行っていた)」と民される場合。
猫被害者(原告)は、猫による被害を証明するだけでよく、餌やり行為者(加害者=被告)の故意・過失まで証明する必用はない。
一般不法行為より、猫被害者(原告)に有利。

 では、行政から認められた地域猫活動や、地域猫的な活動(不妊去勢などを行っているが、行政からの認可を得ていない)で猫による被害が生じた場合は、地域猫(「的」も含む)活動家は、法的責任が生じるのでしょうか。「法的責任有り」として、地域猫的活動家に対して、損害賠償の支払いを命じた判決が東京地裁立川支部で確定しています。
 この裁判は、被告の将棋棋士が自己所有の居住しているタウンハウス(区分所有建物)内で、野良猫の餌やりをしていたものです。原告の区分所有建物の所有者らが、被告に対して餌やり行為の差止と、猫被害に対する損害賠償の支払いなどを求めた裁判です。

 判決では、猫被害者(原告)である、餌やり行為者(加害者=被告)に対する請求は、いずれも認められました。つまり、
1、餌やり差止請求(根拠 区分所有法、及び管理規約)
2、猫被害に対する損害賠償の支払い(根拠 民法709条、及び民法718条による一般不法行為、特殊不法行為)
3、弁護士費用の被告の負担(根拠 民事訴訟法)
4、その他遅延損害金など
です。
 なお、「この訴訟は区分所有の集合住宅の管理に特異な問題で、一般の餌やりに関して争われたものではない」という誤った解釈のブログ記事が多数書かれています。上記のとおり、「1、餌やり差止」は区分所有法と管理規約という、区分所有不動産固有の問題ですが、「2、猫被害に対する損害賠償の支払い」は、民法709条、718条を根拠とした不法行為責任の問題です。したがって、「2、猫被害に対する損害賠償の支払い」は、区分所有の集合住宅以外の餌やり被害にも、本判決は準用できると考えられます。
 以下に、本判決文を引用します。平成22年5月13日判決言渡 平成20年(ワ)第2785号 東京地裁立川支部 猫への餌やり禁止等請求事件


主 文
3 原告らの損害賠償請求 被告は,次の各原告に対し,次に記載の各金員及びこれに対する平成20年11 月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(1) 原告A 30万円
(2) 原告A 12万円
(3) 原告A 9万円
(4) 原告A 9万円
(5) 原告A 9万円
(6) 原告A 9万円
(7) 原告A 9万円
(8) 原告A 9万円
(9) 原告A 3万6000円
(10) 原告A 3万6000円
(11) 原告A 12万6000円
(12) 原告A 12万6000円
(13) 原告A 15万6000円
(14) 原告A 9万6000円
(15) 原告A 15万6000円
(16) 原告A 9万6000円
(17) 原告A 12万6000円
(18) 原告A 12万6000円

原告ら及び被告は,建物の区分所有等に関する法律の適用のある本件タウンハウスに居住している。
本件は,本件タウンハウスの一部の区分所有者である被告が複数の猫に継続的に餌やりを行い,糞尿等による被害を生じさせた。
本件タウンハウスの敷地及び被告区分建物内での猫への餌やりの差止めを求めるとともに,原告らが不法行為に基づく慰謝料及び弁護士費用の損害金並びに遅延損害金の支払を求める事案である。
被告は,平成14年5月には,被告専有部分の北側玄関前や被告専用庭で,猫に対して餌やりをするようになり,以後,猫に対する餌やりを継続している。
平成14年5月,本件土地での被告の餌やりに集まってくる猫の数は,少なくとも18匹であった。
平成15年,近隣で猫に対する餌やりを行っていたCが主導して,本件土地に現れる猫に対して不妊去勢手術を施した。
同じく猫に対する餌やりを行っていた被告は,Cからの請求に応じ,その費用の50%程度を負担した
平成19年5月27日,臨時総会で,被告以外の組合員9名全員が出席し,猫の糞尿とそれに伴う悪臭等により多大な迷惑を被っており,被告に対し猫の飼育を中止するよう求めることを決議し,同総会議事録は被告にも回覧された。
平成19年9月19日,原告は,東京都動物愛護相談センター多摩支所に対し,理事長の立場で,被告の猫に対する餌やりについて,禁止等の指導を電話で要請した。
同支所の担当者は,その後数回,被告に対する指導を試みた。
平成19年10月14日,臨時総会で,被告以外の組合員9名全員が出席し,被告の餌やりが継続し,悪質化しているとして,三鷹市長及び三鷹警察署長に対して,事態改善に関する要望書を提出することを決議し,同総会議事録は被告にも回覧された。
同月22日,上記決議に基づき,原告及び被告以外の組合員9名は,三鷹市長及び三鷹警察署長に対し,被告に餌やりの中止を勧告することを求める要請書を郵送した。
これに対し,被告は,解決策として里親を探 し,里親が見つかるまでの間,猫の糞尿被害を軽減するための策を講じさせてもら いたいことを書面で回答した。
猫の飼育及び猫の数 
平成19年現在,被告の餌やり行為により本件土地に現れる猫は,白黒の猫1匹, 焦げ茶色の猫1匹,黄色と茶色の猫2匹の合計4匹である。
本件土地では,原告らが写真による記録化を開始した平成19年12月以後においても,通路や専用庭に,被告が餌やりをしている猫によって数多くの糞がされている状況にある。
自動車また,本件土地に現れる猫が,本件土地の駐車場に駐車してある原告の自動車の屋根やボンネット,他の居住者のバイクに上がることによって,自動車等に傷が付くなどの被害が生じている。
猫の抜け毛が玄関先等の吹きだまりに集まり,不衛生な状態となる被害が生じている。
猫のうなり声がしたり,夜間などは,猫の眼光の薄気味悪さから,恐怖感 を感じる。
不妊去勢手術を受けた猫においては, このようなことが少なくなるから,不妊手術がされた平成15年以降については,うなり声等による被害は,格段に減少していると推認 される。
専用庭に飛び降りて侵入してくる猫により,庭木や植木鉢等が壊されたりする被害が生じている。
本件土地に現れる猫が専用庭に侵入したり,糞をしないように,個人原告らは,各専用庭の周りにネットフェンスを設置したり,猫除けセンサーを設置したり,棘付きマットを敷いたりなどの対策を採り,そのための費用を支出して いる。
設置したネットフェンス等も,猫により破損されている。
本件土地に現れる猫の数が最も多かったのが平成14年であり,その後猫の数が減少している。
被告は,本件土地に現れる猫に対して,不妊去勢手術を受けさせ,その費用を負担した。
被告は,平成19年11月から,被告専用庭や被告専有部分の北側玄関付近に最大時で4個の猫用のトイレを設置し現在は2個を被告専用庭に設置し2日に1回程度砂を取り替えている。
被告は平成19年11月から,1日に数回,本件土地のパトロールを行 い,発見した動物の糞を清掃している。
被告は,猫が近寄らないようにするための装置を複数購入して,原告らの 一部に配布したことがある。
被告は,里親探しに努めてきたと主張する。
現時点での猫4匹の屋外飼育は,個人原告らの人格権を侵害し, 以前の屋外での猫への餌やり行為も,飼育の程度に達していないものを含め,個人原告らの人格権を侵害するものであったと認められる。
確かに,猫の数は,被告も費用を負担した不妊去勢手術の効果として,4匹にま で減少し,個人原告らが被っていた各種被害も減少,不妊去勢手術の効果,猫のトイレの設置及び被告による猫の糞のパトロールにより減少しているものでありしかもこれらの被告の行動は猫の一代限りの命を尊重し,餌やりの工夫や猫のトイレの設置により被害を減少さ せるよう努めながら,数年かけて野良猫の総数を減らしていこうという地域猫活動の趣旨に,一定程度沿ったものであることは認められる。
地域猫活動で重要といわれている糞のパトロール及び猫用のトイレの設置を 開始したものの被告が行っている4匹の猫への餌やりは,住みかまで提供する飼育の域に達しているのにトイレの配慮が十分でなく,糞のパトロールの回数も不十分であることに加え,餌やりの点でも,風で飛んでしまう可能性のある新聞紙等を使用する方法や餌やり終了後の始末が遅い点で更に改善を要する点があるなど,猫への餌やりによる個人原告らに対する被害は依然として続いているものであり,現時点での活動であっても,受忍限度を超え,個人原告らの人格権を侵害するものと認められる。
被告の餌やり行為は,現在に至るまで,受忍限度を超える違法なものであり,故意過失に欠けるところもないと認められる。
よって,被告は,個人原告らに対し,上記不法行為によって生じた損害を 賠償する義務がある。
他方被告の行動が,地域猫活動の理念に沿うものになってきたこと並びに被害の程度が減少してきたことも,併せ考慮すべきである。



 引用が長くなりましたが、上記判決文からは、以下のことが伺えます。
1、被告は、野良猫の餌やりを行うことと同時に、地域猫的な活動を行っていた(不妊去勢、猫の譲渡、糞掃除など)。
2、地域猫的活動により、餌やりを始めた当初の18匹から、猫は4匹まで減少した。
3、しかし裁判所は、被告の不法行為責任を認め、原告らに総額200万円あまりの損害賠償の支払いを命じた。


 本件では、「地域猫的な活動」、つまり「不妊去勢」、「譲渡先探し」、「糞掃除」、「糞尿被害者のための猫被害予防対策」をし、実際に猫の数と被害も餌やりを始めた当初よりも減少しました。しかし猫による被害があれば、不法行為責任(猫被害者に損害を賠償する義務)は、餌やり行為者は逃れられないということです。また裁判所は、一部の猫に対して被告が、「猫ハウス」などを設置していることなどから、「飼育の域に達していた」と認定し、不法行為の成立の根拠として、民法718条(動物の占有者による不法行為)を援用したとも理解できます。
 「地域猫的活動」、つまり「不妊去勢」、「譲渡先探し」、「糞掃除」、「糞尿被害者のための猫被害予防対策」さえしていれば、餌やりは許容される(つまり損害賠償責任は負わない)と主張する、単なる思い込みに基づいたブログ記事や、そのような情報の流布があります。しかし本判決を鑑みれば、全く逆ということ言えます。むしろ、不妊去勢などの高度な管理を猫に対して行うことにより、民法718条に基づく、特殊不法行為が成立し、訴訟においては猫被害者である原告に有利になると言えるのです。次回以降の記事では、「行政が認めた認可地域猫」において猫被害者生じた場合は不法行為が成立するのか(地域猫活動家は猫被害者に対して損害を賠償する義務を負うのか)について考察します。


(参考資料)

加藤一二三

2008年12月、自宅マンションそばで野良猫を餌付けしたため、糞尿をまき散らされるなどの被害を受けたとして、マンションの他の住人や管理組合から、餌やり中止と慰謝料など約645万円の賠償を求める訴訟を起こされた。
2010年5月13日、東京地裁は原告の訴えを認め、加藤に餌付け中止と慰謝料204万円の支払いを命じた。
加藤自身は以前から、周辺住人の協力によらず、ほぼ一人で避妊や去勢手術を漸次施しているため、現在では4匹前後にまで野良猫は減っていたと報道されている。



(動画)

 【加藤一二三伝説③】猫が好きすぎて・・・。2015/05/27 に公開。

地域猫活動家は損害賠償責任を負うのか~地域猫の管理責任を問う



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Domestic/Inländisch

 記事、
動物愛護管理法の犬猫引取り制限は改悪だったのか~猫被害の増大をもたらした
地域猫活動で野良猫は減少するのか~地域猫の管理責任を問う
続・地域猫活動で野良猫は減少するのか~地域猫の管理責任を問う
「犬猫の殺処分を行う必要がある」が国民の大多数の意見~地域猫の管理責任を問う
の続きです。
 野良猫の餌やり行為により、被害が生じたとして餌やり行為者に対する損害賠償を求める複数の民事訴訟が日本で提起されました。いずれも、餌やり行為により被害を受けた原告が勝訴しています。また、原告一人あたりに対する賠償額も上昇傾向にあります。では、行政が認めた地域猫で同様のことが起きればどうなるのでしょうか。結論から言えば、私は、1学説上、2法律上、3判例上、行政が認めた地域猫活動においても被害が生じれば状況によっては、活動家らは損害賠償責任を負うと解釈します。



 記事、動物愛護管理法の犬猫引取り制限は改悪だったのか~猫被害の増大をもたらした、で取り上げたことですが、平成25年(2013年)に環境省は、人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト、を策定しています。その内容は、「犬猫の殺処分を減らす~なくす(殺処分ゼロ)を目標とする」ということです。2014年の動物愛護管理法の改正は、それに沿ったものと言えます。さらに飼い主のいない猫対策としては、環境省は、人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト、において、事実上「地域猫活動」を推奨しています。つまり環境省は、「殺処分をなくすこと。そのために飼い主のいない猫の対策は地域猫活動を行う」ことを方針として掲げました。
 それ以前に環境省は平成22年に、住 宅 密 集 地 に お け る 犬 猫 の 適 正 飼 養 ガ イ ド ラ イ ンにより、地域猫活動の定義を示しています。地域猫活動の定義を「地域住民と飼い主のいない猫との共生をめざし、不妊去勢手術を行ったり、新しい飼い主を探して飼い猫にしていくことで、将来的に飼い主のいない猫をなくしていくことを目的とする。地域住民が飼育管理する」とし、「地域ぐるみの活動」を強調しています。そして地域猫の管理責任、つまり地域猫活動に伴う被害が発生した場合などの管理責任については意図的なのか、全く言及していません。

 では、地域猫活動により飼育管理している猫が被害を及ぼした場合は、地域猫活動家の法的責任はどうなるのでしょうか。サマリーで述べた通り、近年ではいくつもの野良猫の餌やりによる被害を受けた人が、損害賠償を餌やり行為者に求める民事訴訟が提起されました。いずれも報道された事件では、猫被害者の原告が勝訴し、原告一人あたりへの賠償額は上昇気味です。一方、地域猫活動においては、猫への給餌を行うことが前提です。
 まず、野良猫に餌やりをしてその野良猫が被害を及ぼし、それにより給餌者が損害賠償責任を負う法的根拠について述べます。それは、民法709条にもとづく「一般不法行為責任」、もしくは民法718条に基づく「動物の管理者による特殊不法行為責任」です。


民法第709条に基づく「一般不法行為」

第709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

民法第718条 「動物の占有者に対する特殊不法行為」

第718条
動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。
占有者に代わって動物を管理する者も、前項の責任を負う。
解説
動物占有者、及び動物管理者とみなされた者については、上記の要件に基づき不法行為責任を負うことがある。


 「民法709条に基づく一般不法行為」と、「民法718条に基づく、動物占有者の特殊不法行為」の違いは、被害者(原告)の立証責任にあります。一般不法行為の成立要件は民法709条の条文にあるとおり、加害者(被告)の「故意、または過失がある」行為により、他人に損害を与えることですが、それとその「因果関係」があることです。一般不法行為においては、被害者(原告)が加害者(被告)に対して損害賠償を請求する場合は、加害者(原告)は加害者(被告)の行為に、「故意、または過失」があったことを証明しなければなりません。
 対して、「民法718条に基づく、動物占有者の特殊不法行為」は、客観的にその動物から被害を受けていることを被害者(原告)が立証すれば足ります。加害者(被告)の、「故意、または過失」を証明する責任はありません。
 つまり、「民法709条に基づく一般不法行為」より、「民法718条に基づく、動物占有者の特殊不法行為」の方が、被害者(原告)にとっては訴訟において有利
になります。加害者(被告)の「故意、または過失」を証明するのは大変なことだからです。

 「野良猫に餌をやっていることで糞尿による衛生被害などを被った」ケースでの、被害者(原告)が餌やり行為者に対して損害賠償を求めた裁判例ですが、「民法709条に基づく一般不法行為」、「民法718条に基づく、動物占有者の特殊不法行為」のいずれも認められた判決があります。違いは、餌やり行為者=加害者(被告)が、どの程度野良猫に関わっていたかの差です。単に野良猫に給餌していた場合は、裁判所は、「民法709条に基づく一般不法行為」を援用し、餌やり行為者=加害者(被告)の不法行為責任を認め、野良猫被害者=被害者(原告)へ、損害賠償の支払いを命じました。つまり、「野良猫に餌をやる」ことと、近隣の猫被害には因果関係があると認めています。
 一方、加害者(被告)が野良猫に対して高度な管理行為、つまり不妊去勢手術をする、猫の譲渡先を探していた、などを行っていた裁判例では、裁判所は餌やり行為者=加害者(被告)の行為は「飼育の域」と認定し、「民法718条に基づく、動物占有者の特殊不法行為」としました。その裁判においても、もちろん餌やり行為者=加害者(被告)に、猫被害者=被害者(原告)に損害賠償の支払いを命じる判決が確定しています。

 実例として、「民法709条に基づく一般不法行為」による、餌やり行為者=加害者(被告)に、猫被害者=被害者(原告)に、損害賠償の支払い命じた判決文を引用します。この裁判の判決においては、平成20年に、野良猫に餌やりを行う被告に対して、猫の糞尿などの被害を受けた原告に、55万 8100円の損害賠償の支払いなどを命じました。この裁判は、被告女性が2013年5月頃から少なくとも同年12月頃まで、自宅玄関前に餌を置くなどして複数の野良猫に餌やりを継続し、近隣に猫による被害を及ぼしたというものです。判決では、「餌やりの中止や屋内飼育を行うべきだった」とし、「近隣住民への配慮を怠り、生活環境を害した」と結論付け、被害者原告に55万8,100円の損害賠償を命じました
 平成20年7月11日判決言渡 福岡地方裁判所第6民事部 福岡野良猫餌やり被害損害賠償請求事件。判決文原文から引用します。


主文
1 被告は,原告に対し, 55万 8100円及びこれに対する平成 26年7月 21 日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
3 訴訟費用は,これを3分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。

事実及び理由
本件は,原告が,隣接地に居住する被告に対 し,被告が被告宅又はその庭において野良猫に寝床や餌を用意するな どの飼育ないし餌付けを行って原告宅を含む周辺に猫を居着かせ,行政機関の指導にも従わずに飼育ないし餌付けを継続し,他人の土地,建物を損傷し,又は糞尿等で汚損することのないよう家庭動物の飼育等を行うべき義務に違反して,原告宅の庭を猫の糞尿等により汚損した不法行為により,原告に159万 8600円の損害を与えたとして,不法行為による損害賠償請求権に基づき159万8600円及びこれに対する不法行為後の日である平成 26年7月21日から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
・当裁判所の判断
野良猫が同一の場所に居着くのは,餌に困らない環境が整っているからであると考えられる。
被告が平成26年1月に本件野良猫に対する餌やりを中止したところ,その後,同 年3月初旬頃には本件野良猫が目撃されなくなっていることによっても裏付けられているというべきである。
被告の行為(餌やり)の不法行為該当性及び糞尿被害との因果関係について
被告は,平成25年5月頃から,同年1 2月頃まで,本件野良猫に対し,継続的に餌やりをしていたと認められる。
餌やりによって野良猫が居着いた場合,その野良猫が糞尿等により近隣に迷惑や不快感その他の権利利益の侵害をもたらすことがある以上,そのような迷惑が生じることがないよう配慮することは当然に求められるというべきである。
餌やりをすれば本件野良猫が居着くことになることや,その結果として近隣に迷惑を及ぼすことは十分に認識し得たはずであるうえに,被告は,原告を含む近隣住民に配慮し,糞尿被害等を生じさせることがないよう,餌やりを中止し,あるいは,本件野良猫について屋内飼育を行うなどの措置をとるべきであったということができる。
被告は,以降も本件野良猫に対する餌やりを継続していたと認められ,また,原告宅の庭においては実際に糞尿被害が発生しており,この糞尿被害は本件野良猫によって発生したと認められるのであって,被告の行為は, 原告その他の近隣住民への配慮を怠り,本件野良猫の糞尿等により原告の権利利益を侵害した不法行為というべきである。
野良猫への餌やりは野良猫の生活に適した環境を整え,居着かせることにつながる行為である。
・結 論
原告は,被告に対し,不法行為による損害賠償請求権に基づき, 55万8100円及びこれに対する不法行為後の日である平成 26年7月21日から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。



 上記の判決文においては、「餌やり行為は、野良猫をいつかせ、近隣に被害を生じさせる」とし、被告の餌やり行為が、近隣への猫被害との因果関係を認めています。さらに、野良猫に餌をやる行為は、それが近隣に被害を及ぼすことが容易に予測できるとしています。
 それにもかかわらず、餌やり行為を継続し、または給餌している野良猫を室内飼いに移行しないのは、被告である、餌やり行為者の故意過失です。それを裁判所が認めたものと言えます。

 概ね、他の野良猫餌やり裁判においても、裁判所は同様の判断を示しています。この事件においては、「庭に糞尿される」という、「臭い汚い」といった環境被害で、賠償額も50万円台と低い金額です。しかし野良猫の餌やりにより野良猫を居着かせ、例えば重大な感染症がもたらされ、それが原因が死亡者が出たとすればどうなるでしょうか。賠償額は億単位になる可能性すらあります。野良猫の餌やりと被害発生の因果関係と故意過失を司法が認めているわけですから、当然この判決は、野良猫が原因の感染症の感染にも準用でると考えられます。
 現在日本で感染が拡大しているSFTSという、マダニがベクターとなる感染症があります。SFTSは、猫がばらまいたマダニからも、猫からも感染します。ウイルスの遺伝の型を調べることにより、原因となったウイルスが猫が運んだものかどうかを証明することができます。したがって、野良猫が運んだマダニにより、SFTSに人が感染したことを証明することができる、すなわち、野良猫の餌やり行為と感染との因果関係が証明できるのです。

 例えば、このようなことが地域猫活動で起きたのならば、地域猫活動家は損害賠償責任を負うのでしょうか。仮に行政が認可した地域猫であってとしても、私は、地域猫活動家らの損害賠償責任は生じうると理解します。
 「地域猫は野良猫を減らす目的である」、「そのために不妊去勢をしている」ことは、不法行為の成立の妨げにはならないと私は考えます。実際に、「地域猫活動により猫が減った」としてでもです。なぜならば、「地域猫的活動と認められる」と裁判所が判断した野良猫の餌やり被害での損害賠償請求裁判において、裁判所は餌やり行為者に損害賠償の支払いを命じているからです。むしろ、「不妊去勢」などの高度な猫に対する管理を行うことにより、「動物の占有者」としてみなされ、より厳しい責任が生じると考えられます。


(参考資料)

野良猫への餌付けで55万円の賠償命令?ネット上では、賛否の声が相次いでる


(動画)

 野良猫餌やりで55万支払い命令!隣家の庭汚す!2015/09/26 に公開。

続きを読む

野良猫への無許可餌やりを処罰する時期に来ているー1





 無許可の野良猫への餌やりによる被害は看過できない状況になっています。厳正に処罰するべきではないでしょうか。

 野良猫への餌やりや猫の不適正飼育による被害に対して、被害者が民事上の損害賠償を求めた裁判がいくつかあります。判決が確定した裁判では、平成15年神戸地裁本庁、平成20年東京地裁立川支部、平成23年東京地裁本庁、他さいたま地裁大宮支部などいずれも被告餌やり不適正飼育者に対して損害賠償の支払いを命じています。
 判決にいたらなくても、和解により被告餌やりが責任を認めて、原告に解決金を支払ったケースもあります(神戸地裁尼崎支部など)。
 いずれの裁判でも比較的高額の損害賠償が認められ、原告側の弁護士費用の支払いも被告に命じています。野良猫の餌やりに対する損害賠償を求める訴訟では、私が知る限り、原告被害者が敗訴したケースを知りません。

 しかし民事裁判で餌やり被害者が権利回復するには、多大な手間(立証活動や弁護士への打ち合わせなど)と当初の弁護士費用などがかかります。民事裁判は、けしてハードルが低いものとは思えません。猫被害者の、迅速な被害回復や被害防止のためには、餌やりに対する刑事処罰を厳正に行うことが効果があります。私はその時期に来ていると思います。
 十数年前に横浜市磯子区で地域猫を制度化して以来、あまりにも餌やりは「地域猫」を口実にして増長しすぎました。それに伴い猫被害も看過できないほど深刻になりました。地域猫は罪深いと言わざるをえません(続く)。


 野良猫への餌やりをしている人の横暴とその被害の実例を挙げます。神戸市垂水区には、県立視覚障害者特別支援学校があります。かねてより、付近での野良猫餌やりの被害に本学校の生徒や教職員は悩まされ続けています。なぜならば、視覚障害者は、道路に落ちている猫糞を目視できないからです。点字ブロックの上に糞をされれば、どうしても踏んでしまいます。
 以下の画像は、昨年11月に撮影した本学校に掲示されたポスターの画像です。

覚障害者支援学校ポスター


 同じく視覚障害者特別支援学校に掲示されたポスターです。これは今年3月に撮影しました。上記のポスターが掲示されていた場所と全く同じ場所に掲示されています。
 かつては「猫に餌をあげないで」となっていたのが、「犬の糞を放置しないでください」と変更されています。

視覚支援学校 ポスター


 理由は、野良猫に餌やりをしている基地害が本学校に怒鳴り込んだからです。「地域猫といって、崇高な動物愛護ボランティアをしている。糞が迷惑というのならば、糞は飼い犬を散歩させた時に飼い主が放置したものだ。ボランティア活動を妨害するようなポスターを掲示するとは何事だ」。この地域では、もちろん地域猫は認定されていません。
 私は、本学校付近で落ちている糞を何度も観察しましたが、どうみても猫糞です。兵庫県では犬の糞放置は、条例で罰金10万円に処せられます。犬を散歩させる方は、大体同じ時間帯同じルートで行います。ですから犬糞放置をした犯人はバレバレです。また、どこの自治会でも、犬糞放置は咎められます。それなのに犬糞を放置し続ける飼い主がいるでしょうか。また、以下の画像は本学校の花壇です。花壇は糞被害に遭うため、ネットで防御しています。犬の飼い主が犬を高い位置の花壇にわざわざ持ち上げて糞させるのですかね?
 野良猫の餌やりをする人に猫糞被害を訴えれば「その糞は犬の飼い主が放置したものだ」という言い逃れの常套句が返ってきます。

視覚障害者学校 花壇


 以下の画像は、本学校に近接した駐車場や民家に掲げられた看板です。ここでの餌やりは、無許可で民間駐車場や民家私有地を餌やり場にしています。

垂水駐車場1

垂水駐車場2

垂水 民家前


 ヒトサマの庭で闊歩する野良猫。

垂水 野良猫   
プロフィール

さんかくたまご

Author:さんかくたまご
当ブログのレコード
・1日の最高トータルアクセス数 8,163
・1日の最高純アクセス数 4,956
・カテゴリー(猫)別最高順位7,928ブログ中5位
・カテゴリー(ペット)別最高順位39,916ブログ中8位

1959年生。
大阪府出身、東京育ち(中学は世田谷区立東深沢中学校、高校は東京都立戸山高校です)。
現在は、兵庫県西宮市在住です。
一人暮らしです。

趣味はクルマをコロガスこと(現在のクルマは4代目のメルセデスベンツです。ドイツ車では5代目)、庭での果樹栽培、家の手入れ掃除です。
20歳代前半から商品先物、株式投資をはじめ、30歳で数億円の純資産を得るが、その後空売りの深追いで多くを失う。
平成12年ごろから不動産投資を行い成功、現在50数戸を無借金で所有。
不動産投資では、誰も見向きもしなかったキズモノ、競売物件などをリノベーションする手法です。

なお、SNS、掲示板、QandAサイトなどでは、多数の本ブログ管理人の私(HN さんかくたまご)(武田めぐみ)のなりすまし、もしくはそれと著しく誤認させるサイトが存在します。
しかし私が管理人であるサイトは、このページのフリーエリアにあるリンクだけです。
その他のものは、例えば本ブログ管理人が管理人と誤認させるものであっても、私が管理しているサイトではありません。
よろしくお願いします。

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