続・地域猫活動家は損害賠償責任を負うのか~地域猫の管理責任を問う



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 記事、
動物愛護管理法の犬猫引取り制限は改悪だったのか~猫被害の増大をもたらした
地域猫活動で野良猫は減少するのか~地域猫の管理責任を問う
続・地域猫活動で野良猫は減少するのか~地域猫の管理責任を問う
「犬猫の殺処分を行う必要がある」が国民の大多数の意見~地域猫の管理責任を問う
地域猫活動家は損害賠償責任を負うのか~地域猫の管理責任を問う
の続きです。
 前回記事では、野良猫の餌やり行為により、被害が生じたとして餌やり行為者を相手取り、損害賠償を求めた民事訴訟について述べました。前回記事でとりあげた裁判では、被告(餌やり行為者)の一般不法行為(民法709条)を認め、損害賠償の支払いを命じました。では、地域猫活動では、猫による被害が生じた場合は、地域猫活動家は損害を賠償しなければならないのでしょうか。結論から言えば、私は「状況によってはある」と判断します。



 前回記事、地域猫活動家は損害賠償責任を負うのか~地域猫の管理責任を問う、では、野良猫への餌やりにより被害が生じた場合の、餌やり行為者が被害者に対して損害賠償責任を負う法的根拠について述べました。

・一般不法行為
~民法709条に基づく。
餌やり行為者(加害者=被告)の故意・過失と、餌やり行為と被害の因果関係を、猫被害者(原告)が証明しなければならない。

・特殊不法行為
~民法718条に基づく。
餌やり行為者(加害者=被告)が、猫被害の原因となった猫を「占有していた(相当の管理を行っていた)」と民される場合。
猫被害者(原告)は、猫による被害を証明するだけでよく、餌やり行為者(加害者=被告)の故意・過失まで証明する必用はない。
一般不法行為より、猫被害者(原告)に有利。

 では、行政から認められた地域猫活動や、地域猫的な活動(不妊去勢などを行っているが、行政からの認可を得ていない)で猫による被害が生じた場合は、地域猫(「的」も含む)活動家は、法的責任が生じるのでしょうか。「法的責任有り」として、地域猫的活動家に対して、損害賠償の支払いを命じた判決が東京地裁立川支部で確定しています。
 この裁判は、被告の将棋棋士が自己所有の居住しているタウンハウス(区分所有建物)内で、野良猫の餌やりをしていたものです。原告の区分所有建物の所有者らが、被告に対して餌やり行為の差止と、猫被害に対する損害賠償の支払いなどを求めた裁判です。

 判決では、猫被害者(原告)である、餌やり行為者(加害者=被告)に対する請求は、いずれも認められました。つまり、
1、餌やり差止請求(根拠 区分所有法、及び管理規約)
2、猫被害に対する損害賠償の支払い(根拠 民法709条、及び民法718条による一般不法行為、特殊不法行為)
3、弁護士費用の被告の負担(根拠 民事訴訟法)
4、その他遅延損害金など
です。
 なお、「この訴訟は区分所有の集合住宅の管理に特異な問題で、一般の餌やりに関して争われたものではない」という誤った解釈のブログ記事が多数書かれています。上記のとおり、「1、餌やり差止」は区分所有法と管理規約という、区分所有不動産固有の問題ですが、「2、猫被害に対する損害賠償の支払い」は、民法709条、718条を根拠とした不法行為責任の問題です。したがって、「2、猫被害に対する損害賠償の支払い」は、区分所有の集合住宅以外の餌やり被害にも、本判決は準用できると考えられます。
 以下に、本判決文を引用します。平成22年5月13日判決言渡 平成20年(ワ)第2785号 東京地裁立川支部 猫への餌やり禁止等請求事件


主 文
3 原告らの損害賠償請求 被告は,次の各原告に対し,次に記載の各金員及びこれに対する平成20年11 月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(1) 原告A 30万円
(2) 原告A 12万円
(3) 原告A 9万円
(4) 原告A 9万円
(5) 原告A 9万円
(6) 原告A 9万円
(7) 原告A 9万円
(8) 原告A 9万円
(9) 原告A 3万6000円
(10) 原告A 3万6000円
(11) 原告A 12万6000円
(12) 原告A 12万6000円
(13) 原告A 15万6000円
(14) 原告A 9万6000円
(15) 原告A 15万6000円
(16) 原告A 9万6000円
(17) 原告A 12万6000円
(18) 原告A 12万6000円

原告ら及び被告は,建物の区分所有等に関する法律の適用のある本件タウンハウスに居住している。
本件は,本件タウンハウスの一部の区分所有者である被告が複数の猫に継続的に餌やりを行い,糞尿等による被害を生じさせた。
本件タウンハウスの敷地及び被告区分建物内での猫への餌やりの差止めを求めるとともに,原告らが不法行為に基づく慰謝料及び弁護士費用の損害金並びに遅延損害金の支払を求める事案である。
被告は,平成14年5月には,被告専有部分の北側玄関前や被告専用庭で,猫に対して餌やりをするようになり,以後,猫に対する餌やりを継続している。
平成14年5月,本件土地での被告の餌やりに集まってくる猫の数は,少なくとも18匹であった。
平成15年,近隣で猫に対する餌やりを行っていたCが主導して,本件土地に現れる猫に対して不妊去勢手術を施した。
同じく猫に対する餌やりを行っていた被告は,Cからの請求に応じ,その費用の50%程度を負担した
平成19年5月27日,臨時総会で,被告以外の組合員9名全員が出席し,猫の糞尿とそれに伴う悪臭等により多大な迷惑を被っており,被告に対し猫の飼育を中止するよう求めることを決議し,同総会議事録は被告にも回覧された。
平成19年9月19日,原告は,東京都動物愛護相談センター多摩支所に対し,理事長の立場で,被告の猫に対する餌やりについて,禁止等の指導を電話で要請した。
同支所の担当者は,その後数回,被告に対する指導を試みた。
平成19年10月14日,臨時総会で,被告以外の組合員9名全員が出席し,被告の餌やりが継続し,悪質化しているとして,三鷹市長及び三鷹警察署長に対して,事態改善に関する要望書を提出することを決議し,同総会議事録は被告にも回覧された。
同月22日,上記決議に基づき,原告及び被告以外の組合員9名は,三鷹市長及び三鷹警察署長に対し,被告に餌やりの中止を勧告することを求める要請書を郵送した。
これに対し,被告は,解決策として里親を探 し,里親が見つかるまでの間,猫の糞尿被害を軽減するための策を講じさせてもら いたいことを書面で回答した。
猫の飼育及び猫の数 
平成19年現在,被告の餌やり行為により本件土地に現れる猫は,白黒の猫1匹, 焦げ茶色の猫1匹,黄色と茶色の猫2匹の合計4匹である。
本件土地では,原告らが写真による記録化を開始した平成19年12月以後においても,通路や専用庭に,被告が餌やりをしている猫によって数多くの糞がされている状況にある。
自動車また,本件土地に現れる猫が,本件土地の駐車場に駐車してある原告の自動車の屋根やボンネット,他の居住者のバイクに上がることによって,自動車等に傷が付くなどの被害が生じている。
猫の抜け毛が玄関先等の吹きだまりに集まり,不衛生な状態となる被害が生じている。
猫のうなり声がしたり,夜間などは,猫の眼光の薄気味悪さから,恐怖感 を感じる。
不妊去勢手術を受けた猫においては, このようなことが少なくなるから,不妊手術がされた平成15年以降については,うなり声等による被害は,格段に減少していると推認 される。
専用庭に飛び降りて侵入してくる猫により,庭木や植木鉢等が壊されたりする被害が生じている。
本件土地に現れる猫が専用庭に侵入したり,糞をしないように,個人原告らは,各専用庭の周りにネットフェンスを設置したり,猫除けセンサーを設置したり,棘付きマットを敷いたりなどの対策を採り,そのための費用を支出して いる。
設置したネットフェンス等も,猫により破損されている。
本件土地に現れる猫の数が最も多かったのが平成14年であり,その後猫の数が減少している。
被告は,本件土地に現れる猫に対して,不妊去勢手術を受けさせ,その費用を負担した。
被告は,平成19年11月から,被告専用庭や被告専有部分の北側玄関付近に最大時で4個の猫用のトイレを設置し現在は2個を被告専用庭に設置し2日に1回程度砂を取り替えている。
被告は平成19年11月から,1日に数回,本件土地のパトロールを行 い,発見した動物の糞を清掃している。
被告は,猫が近寄らないようにするための装置を複数購入して,原告らの 一部に配布したことがある。
被告は,里親探しに努めてきたと主張する。
現時点での猫4匹の屋外飼育は,個人原告らの人格権を侵害し, 以前の屋外での猫への餌やり行為も,飼育の程度に達していないものを含め,個人原告らの人格権を侵害するものであったと認められる。
確かに,猫の数は,被告も費用を負担した不妊去勢手術の効果として,4匹にま で減少し,個人原告らが被っていた各種被害も減少,不妊去勢手術の効果,猫のトイレの設置及び被告による猫の糞のパトロールにより減少しているものでありしかもこれらの被告の行動は猫の一代限りの命を尊重し,餌やりの工夫や猫のトイレの設置により被害を減少さ せるよう努めながら,数年かけて野良猫の総数を減らしていこうという地域猫活動の趣旨に,一定程度沿ったものであることは認められる。
地域猫活動で重要といわれている糞のパトロール及び猫用のトイレの設置を 開始したものの被告が行っている4匹の猫への餌やりは,住みかまで提供する飼育の域に達しているのにトイレの配慮が十分でなく,糞のパトロールの回数も不十分であることに加え,餌やりの点でも,風で飛んでしまう可能性のある新聞紙等を使用する方法や餌やり終了後の始末が遅い点で更に改善を要する点があるなど,猫への餌やりによる個人原告らに対する被害は依然として続いているものであり,現時点での活動であっても,受忍限度を超え,個人原告らの人格権を侵害するものと認められる。
被告の餌やり行為は,現在に至るまで,受忍限度を超える違法なものであり,故意過失に欠けるところもないと認められる。
よって,被告は,個人原告らに対し,上記不法行為によって生じた損害を 賠償する義務がある。
他方被告の行動が,地域猫活動の理念に沿うものになってきたこと並びに被害の程度が減少してきたことも,併せ考慮すべきである。



 引用が長くなりましたが、上記判決文からは、以下のことが伺えます。
1、被告は、野良猫の餌やりを行うことと同時に、地域猫的な活動を行っていた(不妊去勢、猫の譲渡、糞掃除など)。
2、地域猫的活動により、餌やりを始めた当初の18匹から、猫は4匹まで減少した。
3、しかし裁判所は、被告の不法行為責任を認め、原告らに総額200万円あまりの損害賠償の支払いを命じた。


 本件では、「地域猫的な活動」、つまり「不妊去勢」、「譲渡先探し」、「糞掃除」、「糞尿被害者のための猫被害予防対策」をし、実際に猫の数と被害も餌やりを始めた当初よりも減少しました。しかし猫による被害があれば、不法行為責任(猫被害者に損害を賠償する義務)は、餌やり行為者は逃れられないということです。また裁判所は、一部の猫に対して被告が、「猫ハウス」などを設置していることなどから、「飼育の域に達していた」と認定し、不法行為の成立の根拠として、民法718条(動物の占有者による不法行為)を援用したとも理解できます。
 「地域猫的活動」、つまり「不妊去勢」、「譲渡先探し」、「糞掃除」、「糞尿被害者のための猫被害予防対策」さえしていれば、餌やりは許容される(つまり損害賠償責任は負わない)と主張する、単なる思い込みに基づいたブログ記事や、そのような情報の流布があります。しかし本判決を鑑みれば、全く逆ということ言えます。むしろ、不妊去勢などの高度な管理を猫に対して行うことにより、民法718条に基づく、特殊不法行為が成立し、訴訟においては猫被害者である原告に有利になると言えるのです。次回以降の記事では、「行政が認めた認可地域猫」において猫被害者生じた場合は不法行為が成立するのか(地域猫活動家は猫被害者に対して損害を賠償する義務を負うのか)について考察します。


(参考資料)

加藤一二三

2008年12月、自宅マンションそばで野良猫を餌付けしたため、糞尿をまき散らされるなどの被害を受けたとして、マンションの他の住人や管理組合から、餌やり中止と慰謝料など約645万円の賠償を求める訴訟を起こされた。
2010年5月13日、東京地裁は原告の訴えを認め、加藤に餌付け中止と慰謝料204万円の支払いを命じた。
加藤自身は以前から、周辺住人の協力によらず、ほぼ一人で避妊や去勢手術を漸次施しているため、現在では4匹前後にまで野良猫は減っていたと報道されている。



(動画)

 【加藤一二三伝説③】猫が好きすぎて・・・。2015/05/27 に公開。

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地域猫活動家は損害賠償責任を負うのか~地域猫の管理責任を問う



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動物愛護管理法の犬猫引取り制限は改悪だったのか~猫被害の増大をもたらした
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続・地域猫活動で野良猫は減少するのか~地域猫の管理責任を問う
「犬猫の殺処分を行う必要がある」が国民の大多数の意見~地域猫の管理責任を問う
の続きです。
 野良猫の餌やり行為により、被害が生じたとして餌やり行為者に対する損害賠償を求める複数の民事訴訟が日本で提起されました。いずれも、餌やり行為により被害を受けた原告が勝訴しています。また、原告一人あたりに対する賠償額も上昇傾向にあります。では、行政が認めた地域猫で同様のことが起きればどうなるのでしょうか。結論から言えば、私は、1学説上、2法律上、3判例上、行政が認めた地域猫活動においても被害が生じれば状況によっては、活動家らは損害賠償責任を負うと解釈します。



 記事、動物愛護管理法の犬猫引取り制限は改悪だったのか~猫被害の増大をもたらした、で取り上げたことですが、平成25年(2013年)に環境省は、人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト、を策定しています。その内容は、「犬猫の殺処分を減らす~なくす(殺処分ゼロ)を目標とする」ということです。2014年の動物愛護管理法の改正は、それに沿ったものと言えます。さらに飼い主のいない猫対策としては、環境省は、人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト、において、事実上「地域猫活動」を推奨しています。つまり環境省は、「殺処分をなくすこと。そのために飼い主のいない猫の対策は地域猫活動を行う」ことを方針として掲げました。
 それ以前に環境省は平成22年に、住 宅 密 集 地 に お け る 犬 猫 の 適 正 飼 養 ガ イ ド ラ イ ンにより、地域猫活動の定義を示しています。地域猫活動の定義を「地域住民と飼い主のいない猫との共生をめざし、不妊去勢手術を行ったり、新しい飼い主を探して飼い猫にしていくことで、将来的に飼い主のいない猫をなくしていくことを目的とする。地域住民が飼育管理する」とし、「地域ぐるみの活動」を強調しています。そして地域猫の管理責任、つまり地域猫活動に伴う被害が発生した場合などの管理責任については意図的なのか、全く言及していません。

 では、地域猫活動により飼育管理している猫が被害を及ぼした場合は、地域猫活動家の法的責任はどうなるのでしょうか。サマリーで述べた通り、近年ではいくつもの野良猫の餌やりによる被害を受けた人が、損害賠償を餌やり行為者に求める民事訴訟が提起されました。いずれも報道された事件では、猫被害者の原告が勝訴し、原告一人あたりへの賠償額は上昇気味です。一方、地域猫活動においては、猫への給餌を行うことが前提です。
 まず、野良猫に餌やりをしてその野良猫が被害を及ぼし、それにより給餌者が損害賠償責任を負う法的根拠について述べます。それは、民法709条にもとづく「一般不法行為責任」、もしくは民法718条に基づく「動物の管理者による特殊不法行為責任」です。


民法第709条に基づく「一般不法行為」

第709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

民法第718条 「動物の占有者に対する特殊不法行為」

第718条
動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。
占有者に代わって動物を管理する者も、前項の責任を負う。
解説
動物占有者、及び動物管理者とみなされた者については、上記の要件に基づき不法行為責任を負うことがある。


 「民法709条に基づく一般不法行為」と、「民法718条に基づく、動物占有者の特殊不法行為」の違いは、被害者(原告)の立証責任にあります。一般不法行為の成立要件は民法709条の条文にあるとおり、加害者(被告)の「故意、または過失がある」行為により、他人に損害を与えることですが、それとその「因果関係」があることです。一般不法行為においては、被害者(原告)が加害者(被告)に対して損害賠償を請求する場合は、加害者(原告)は加害者(被告)の行為に、「故意、または過失」があったことを証明しなければなりません。
 対して、「民法718条に基づく、動物占有者の特殊不法行為」は、客観的にその動物から被害を受けていることを被害者(原告)が立証すれば足ります。加害者(被告)の、「故意、または過失」を証明する責任はありません。
 つまり、「民法709条に基づく一般不法行為」より、「民法718条に基づく、動物占有者の特殊不法行為」の方が、被害者(原告)にとっては訴訟において有利
になります。加害者(被告)の「故意、または過失」を証明するのは大変なことだからです。

 「野良猫に餌をやっていることで糞尿による衛生被害などを被った」ケースでの、被害者(原告)が餌やり行為者に対して損害賠償を求めた裁判例ですが、「民法709条に基づく一般不法行為」、「民法718条に基づく、動物占有者の特殊不法行為」のいずれも認められた判決があります。違いは、餌やり行為者=加害者(被告)が、どの程度野良猫に関わっていたかの差です。単に野良猫に給餌していた場合は、裁判所は、「民法709条に基づく一般不法行為」を援用し、餌やり行為者=加害者(被告)の不法行為責任を認め、野良猫被害者=被害者(原告)へ、損害賠償の支払いを命じました。つまり、「野良猫に餌をやる」ことと、近隣の猫被害には因果関係があると認めています。
 一方、加害者(被告)が野良猫に対して高度な管理行為、つまり不妊去勢手術をする、猫の譲渡先を探していた、などを行っていた裁判例では、裁判所は餌やり行為者=加害者(被告)の行為は「飼育の域」と認定し、「民法718条に基づく、動物占有者の特殊不法行為」としました。その裁判においても、もちろん餌やり行為者=加害者(被告)に、猫被害者=被害者(原告)に損害賠償の支払いを命じる判決が確定しています。

 実例として、「民法709条に基づく一般不法行為」による、餌やり行為者=加害者(被告)に、猫被害者=被害者(原告)に、損害賠償の支払い命じた判決文を引用します。この裁判の判決においては、平成20年に、野良猫に餌やりを行う被告に対して、猫の糞尿などの被害を受けた原告に、55万 8100円の損害賠償の支払いなどを命じました。この裁判は、被告女性が2013年5月頃から少なくとも同年12月頃まで、自宅玄関前に餌を置くなどして複数の野良猫に餌やりを継続し、近隣に猫による被害を及ぼしたというものです。判決では、「餌やりの中止や屋内飼育を行うべきだった」とし、「近隣住民への配慮を怠り、生活環境を害した」と結論付け、被害者原告に55万8,100円の損害賠償を命じました
 平成20年7月11日判決言渡 福岡地方裁判所第6民事部 福岡野良猫餌やり被害損害賠償請求事件。判決文原文から引用します。


主文
1 被告は,原告に対し, 55万 8100円及びこれに対する平成 26年7月 21 日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
3 訴訟費用は,これを3分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。

事実及び理由
本件は,原告が,隣接地に居住する被告に対 し,被告が被告宅又はその庭において野良猫に寝床や餌を用意するな どの飼育ないし餌付けを行って原告宅を含む周辺に猫を居着かせ,行政機関の指導にも従わずに飼育ないし餌付けを継続し,他人の土地,建物を損傷し,又は糞尿等で汚損することのないよう家庭動物の飼育等を行うべき義務に違反して,原告宅の庭を猫の糞尿等により汚損した不法行為により,原告に159万 8600円の損害を与えたとして,不法行為による損害賠償請求権に基づき159万8600円及びこれに対する不法行為後の日である平成 26年7月21日から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
・当裁判所の判断
野良猫が同一の場所に居着くのは,餌に困らない環境が整っているからであると考えられる。
被告が平成26年1月に本件野良猫に対する餌やりを中止したところ,その後,同 年3月初旬頃には本件野良猫が目撃されなくなっていることによっても裏付けられているというべきである。
被告の行為(餌やり)の不法行為該当性及び糞尿被害との因果関係について
被告は,平成25年5月頃から,同年1 2月頃まで,本件野良猫に対し,継続的に餌やりをしていたと認められる。
餌やりによって野良猫が居着いた場合,その野良猫が糞尿等により近隣に迷惑や不快感その他の権利利益の侵害をもたらすことがある以上,そのような迷惑が生じることがないよう配慮することは当然に求められるというべきである。
餌やりをすれば本件野良猫が居着くことになることや,その結果として近隣に迷惑を及ぼすことは十分に認識し得たはずであるうえに,被告は,原告を含む近隣住民に配慮し,糞尿被害等を生じさせることがないよう,餌やりを中止し,あるいは,本件野良猫について屋内飼育を行うなどの措置をとるべきであったということができる。
被告は,以降も本件野良猫に対する餌やりを継続していたと認められ,また,原告宅の庭においては実際に糞尿被害が発生しており,この糞尿被害は本件野良猫によって発生したと認められるのであって,被告の行為は, 原告その他の近隣住民への配慮を怠り,本件野良猫の糞尿等により原告の権利利益を侵害した不法行為というべきである。
野良猫への餌やりは野良猫の生活に適した環境を整え,居着かせることにつながる行為である。
・結 論
原告は,被告に対し,不法行為による損害賠償請求権に基づき, 55万8100円及びこれに対する不法行為後の日である平成 26年7月21日から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。



 上記の判決文においては、「餌やり行為は、野良猫をいつかせ、近隣に被害を生じさせる」とし、被告の餌やり行為が、近隣への猫被害との因果関係を認めています。さらに、野良猫に餌をやる行為は、それが近隣に被害を及ぼすことが容易に予測できるとしています。
 それにもかかわらず、餌やり行為を継続し、または給餌している野良猫を室内飼いに移行しないのは、被告である、餌やり行為者の故意過失です。それを裁判所が認めたものと言えます。

 概ね、他の野良猫餌やり裁判においても、裁判所は同様の判断を示しています。この事件においては、「庭に糞尿される」という、「臭い汚い」といった環境被害で、賠償額も50万円台と低い金額です。しかし野良猫の餌やりにより野良猫を居着かせ、例えば重大な感染症がもたらされ、それが原因が死亡者が出たとすればどうなるでしょうか。賠償額は億単位になる可能性すらあります。野良猫の餌やりと被害発生の因果関係と故意過失を司法が認めているわけですから、当然この判決は、野良猫が原因の感染症の感染にも準用でると考えられます。
 現在日本で感染が拡大しているSFTSという、マダニがベクターとなる感染症があります。SFTSは、猫がばらまいたマダニからも、猫からも感染します。ウイルスの遺伝の型を調べることにより、原因となったウイルスが猫が運んだものかどうかを証明することができます。したがって、野良猫が運んだマダニにより、SFTSに人が感染したことを証明することができる、すなわち、野良猫の餌やり行為と感染との因果関係が証明できるのです。

 例えば、このようなことが地域猫活動で起きたのならば、地域猫活動家は損害賠償責任を負うのでしょうか。仮に行政が認可した地域猫であってとしても、私は、地域猫活動家らの損害賠償責任は生じうると理解します。
 「地域猫は野良猫を減らす目的である」、「そのために不妊去勢をしている」ことは、不法行為の成立の妨げにはならないと私は考えます。実際に、「地域猫活動により猫が減った」としてでもです。なぜならば、「地域猫的活動と認められる」と裁判所が判断した野良猫の餌やり被害での損害賠償請求裁判において、裁判所は餌やり行為者に損害賠償の支払いを命じているからです。むしろ、「不妊去勢」などの高度な猫に対する管理を行うことにより、「動物の占有者」としてみなされ、より厳しい責任が生じると考えられます。


(参考資料)

野良猫への餌付けで55万円の賠償命令?ネット上では、賛否の声が相次いでる


(動画)

 野良猫餌やりで55万支払い命令!隣家の庭汚す!2015/09/26 に公開。

続きを読む

野良猫への無許可餌やりを処罰する時期に来ているー1





 無許可の野良猫への餌やりによる被害は看過できない状況になっています。厳正に処罰するべきではないでしょうか。

 野良猫への餌やりや猫の不適正飼育による被害に対して、被害者が民事上の損害賠償を求めた裁判がいくつかあります。判決が確定した裁判では、平成15年神戸地裁本庁、平成20年東京地裁立川支部、平成23年東京地裁本庁、他さいたま地裁大宮支部などいずれも被告餌やり不適正飼育者に対して損害賠償の支払いを命じています。
 判決にいたらなくても、和解により被告餌やりが責任を認めて、原告に解決金を支払ったケースもあります(神戸地裁尼崎支部など)。
 いずれの裁判でも比較的高額の損害賠償が認められ、原告側の弁護士費用の支払いも被告に命じています。野良猫の餌やりに対する損害賠償を求める訴訟では、私が知る限り、原告被害者が敗訴したケースを知りません。

 しかし民事裁判で餌やり被害者が権利回復するには、多大な手間(立証活動や弁護士への打ち合わせなど)と当初の弁護士費用などがかかります。民事裁判は、けしてハードルが低いものとは思えません。猫被害者の、迅速な被害回復や被害防止のためには、餌やりに対する刑事処罰を厳正に行うことが効果があります。私はその時期に来ていると思います。
 十数年前に横浜市磯子区で地域猫を制度化して以来、あまりにも餌やりは「地域猫」を口実にして増長しすぎました。それに伴い猫被害も看過できないほど深刻になりました。地域猫は罪深いと言わざるをえません(続く)。


 野良猫への餌やりをしている人の横暴とその被害の実例を挙げます。神戸市垂水区には、県立視覚障害者特別支援学校があります。かねてより、付近での野良猫餌やりの被害に本学校の生徒や教職員は悩まされ続けています。なぜならば、視覚障害者は、道路に落ちている猫糞を目視できないからです。点字ブロックの上に糞をされれば、どうしても踏んでしまいます。
 以下の画像は、昨年11月に撮影した本学校に掲示されたポスターの画像です。

覚障害者支援学校ポスター


 同じく視覚障害者特別支援学校に掲示されたポスターです。これは今年3月に撮影しました。上記のポスターが掲示されていた場所と全く同じ場所に掲示されています。
 かつては「猫に餌をあげないで」となっていたのが、「犬の糞を放置しないでください」と変更されています。

視覚支援学校 ポスター


 理由は、野良猫に餌やりをしている基地害が本学校に怒鳴り込んだからです。「地域猫といって、崇高な動物愛護ボランティアをしている。糞が迷惑というのならば、糞は飼い犬を散歩させた時に飼い主が放置したものだ。ボランティア活動を妨害するようなポスターを掲示するとは何事だ」。この地域では、もちろん地域猫は認定されていません。
 私は、本学校付近で落ちている糞を何度も観察しましたが、どうみても猫糞です。兵庫県では犬の糞放置は、条例で罰金10万円に処せられます。犬を散歩させる方は、大体同じ時間帯同じルートで行います。ですから犬糞放置をした犯人はバレバレです。また、どこの自治会でも、犬糞放置は咎められます。それなのに犬糞を放置し続ける飼い主がいるでしょうか。また、以下の画像は本学校の花壇です。花壇は糞被害に遭うため、ネットで防御しています。犬の飼い主が犬を高い位置の花壇にわざわざ持ち上げて糞させるのですかね?
 野良猫の餌やりをする人に猫糞被害を訴えれば「その糞は犬の飼い主が放置したものだ」という言い逃れの常套句が返ってきます。

視覚障害者学校 花壇


 以下の画像は、本学校に近接した駐車場や民家に掲げられた看板です。ここでの餌やりは、無許可で民間駐車場や民家私有地を餌やり場にしています。

垂水駐車場1

垂水駐車場2

垂水 民家前


 ヒトサマの庭で闊歩する野良猫。

垂水 野良猫   
プロフィール

さんかくたまご

Author:さんかくたまご
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1959年生。
大阪府出身、東京育ち(中学は世田谷区立東深沢中学校、高校は東京都立戸山高校です)。
現在は、兵庫県西宮市在住です。
一人暮らしです。

趣味はクルマをコロガスこと(現在のクルマは4代目のメルセデスベンツです。ドイツ車では5代目)、庭での果樹栽培、家の手入れ掃除です。
20歳代前半から商品先物、株式投資をはじめ、30歳で数億円の純資産を得るが、その後空売りの深追いで多くを失う。
平成12年ごろから不動産投資を行い成功、現在50数戸を無借金で所有。
不動産投資では、誰も見向きもしなかったキズモノ、競売物件などをリノベーションする手法です。

・座右の銘は「人の行く裏に道あり花の山」
・好きな生き物 メジロ
・尊敬する人 ガブリエルシャネル(シャネル社創業者)
・好きな言葉 Das Beste oder nichts「最善か無か」。ダイムラー・ベンツ社の企業理念。私自身は何事も中途半端でいい加減です。ですからこの言葉に憧れます。

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