なぜ犬猫安楽死薬が入手できなくなったのか~二酸化炭素の殺処分反対は反動物福祉となった

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Domestic/inländisch
記事、
・二酸化炭素死は安楽死である~二酸化炭素の殺処分反対は反動物福祉となった、
・「注射は安楽死」という無知蒙昧~二酸化炭素の殺処分反対は反動物福祉となった、
の続きです。
「二酸化炭素死は安楽死ではないから反対」という、犬猫愛護(誤)活動が数年来先鋭化していました。そのために多くの動物愛護センターは二酸化炭素殺処分の設備を廃棄したりして、「動物愛護の先進度」をアピールしていました。現に、二酸化炭素による殺処分を廃止したとする自治体が多数あります。しかし実はむしろ二酸化炭素による殺処分を廃止したことにより、より苦痛な殺処分方法が採用され、動物福祉の後退を招いています。それは安楽死に用いる麻酔薬、ペントバルビタールの入手が困難になり、代わりに筋弛緩剤の単独投与で殺処分を行う愛護センターが出てきているからです。筋弛緩剤の単独投与による致死処分は安楽死ではありません。苦痛を伴う死です。
前回、前々回の記事では、犬猫の殺処分で用いられる安楽死薬のペントバルビタールが日本では入手ができなくなっている事を書きました。それ以前から動物愛護活動家らが二酸化炭素による殺処分に強硬に反対していました。そして「注射による安楽死」を求めてきました。そのために公的機関(愛護センター)は二酸化炭素による殺処分を廃止し、二酸化炭素の殺処分設備を廃棄したところもあります。そして動物愛護(誤)活動家らに、「動物愛護の先進性」をアピールしています。
犬猫の安楽死に非常に良く用いられているペントバルビタールは、日本はほぼEU、特にドイツから全量を輸入しています。しかしEUは、事実上ペントバルビタールの輸出禁止しました。そのために一部の公的機関(愛護センター)は、筋弛緩剤の注射により犬猫の殺処分を行っています。しかし筋弛緩剤による殺処分は、安楽死ではありません。意識がある状態での窒息死だからです。
多くに国で準拠されている、「全米医師会 動物の安楽死におけるガイドライン 2020年版(「以下、全米獣医師会安楽死ガイドライン」と記述する)」AVMA Guidelines for the Euthanasia of Animals: 2020 Edition*)においても、筋弛緩剤による殺処分は安楽死ではなく、許容できないとしています。なぜならば筋弛緩剤は麻酔効果はなく、意識下での大変苦しい窒息死だからです。対して二酸化炭素死は麻酔効果があり、推奨する安楽死方法としています。
つまり動物愛護(誤)活動家らの、「二酸化炭素による殺処分をやめよ」という運動は、著しい動物福祉の後退をまねいているのです。今回記事では、なぜ日本で犬猫の安楽死薬、ペントバルビタールの入手が困難になったのか、説明したいと思います。なおペントバルビタールの入手困難は、今後も続くと思われます。
すでに前回、前々回記事で述べたことですが、EUは死刑制度を全廃し、他国にも死刑の廃止を求めています。対して例えばアメリカ合衆国は複数の州で死刑制度が存続しており、死刑執行においてペントバルビタールを使用することが一般的です。死刑に反対するEUは、死刑に用いられるペントバルビタールの輸出を2011年に禁止しました。動物の安楽死用には極めて厳しい輸出の承認が必要となりました。
しかし死刑用ペントバルビタールの輸出禁止以降に、動物の安楽死用として違法に承認を得るなどして輸出する企業がドイツありました。日本はほぼドイツから輸入しています。そのためにドイツにおいては、動物の安楽死用のペントバルビタールの輸出においても、極めて厳しい要件が課されるようになりました。そのために事実上、日本はドイツからペントバルビタールの輸入ができなくなっています。
以下に説明となる資料を引用します。まず最初に、ペントバルビタールがアメリカ合衆国で死刑に用いられていることと、そのために2011年にEUがペントバルビタールの輸出を禁止した経緯の説明です。日本は死刑制度がありますが絞首刑です。日本への輸出は、第3国への迂回輸出の可能性を排除することが目的と思われます。
製薬会社による、日本へのペントバルビタールの違法輸出により製薬会社幹部が昨年刑事訴追されました。そのために今後はますます日本向けのペントバルビタールの輸出が困難になると思われます。
・Lethal injection 「致死注射」(英語版ウィキペディア)
Lethal injection is the practice of injecting one or more drugs into a person (typically a barbiturate, paralytic, and potassium solution) for the express purpose of causing rapid death.
The main application for this procedure is capital punishment.
The drugs cause the person to become unconscious, stops their breathing, and causes a heart arrhythmia, in that order.
It is now the most common form of legal execution in the United States.
The export of drugs to be used for lethal injection was banned by the European Union (EU) in 2011, together with other items under the EU Torture Regulation.
Since then, pentobarbital followed thiopental in the European Union's ban.
致死注射とは、速やかに死に至らしめるという明確な目的のために、1つまたは複数の薬物(通常バルビツール酸、麻痺薬、およびカリウム溶液)を注射する行為です。
この手法の主な用途は死刑です。
薬物は人の意識を喪失せしめ、呼吸を止め、不整脈を発生させる(註 心停止)という順序で作用させます。
現在、それは米国で最も一般的な、法律で規定された死刑執行の方法です。
致死注射に使用される薬物の輸出は、EU拷問禁止規則に基づく他の品目とともに、2011年に欧州連合(EU)によって禁止されました。
それ以来欧州連合の輸出禁止命令で、ペントバルビタールはチオペンタールに続き輸出が禁止されました。
・Exportverbot Pentobarbital: Anklage gegen MSD-Manager 「ペントバルビタールの輸出禁止:MSD(製薬会社)の管理職に対する刑事訴追」 2019年12月6日
Illegale Exporte?
Gegen drei Mitarbeiter der MSD-Tochter Vet Pharma Friesoythe wird wegen Ausfuhr von Pentobarbital Anklage erhoben.
Berlin - Wegen illegaler Exporte von Tierarzneimitteln hat die Oldenburger Staatsanwaltschaft Anklage gegen einen Geschäftsführer und zwei Mitarbeiter der Firma Vet Pharma Friesoythe im Kreis Cloppenburg erhoben.
Das Unternehmen habe von November 2017 bis Februar 2018 in fünf Fällen Tierarzneimittel ohne Genehmigung nach Japan und in die USA ausgeführt, sagte ein Sprecher der Staatsanwaltschaft am Freitag.
Die Arzneimittel enthielten den Wirkstoff Pentobarbital-Natrium und dürften nur nach einer speziellen Freigabe exportiert werden.
Für Verstöße gegen das Außenwirtschaftsgesetz sind Geld- oder Freiheitsstrafen bis zu fünf Jahren möglich.
Nach Recherchen des NDR und der Süddeutschen Zeitung geht es um mehrere Tonnen der Injektionslösung „Beuthanasia-D“ zum Einschläfern von Tieren.
Der enthaltene Wirkstoff, Pentobarbital, wird in US-Gefängnissen immer wieder dazu benutzt, Menschen hinzurichten, und fällt unter die EU-Folterrichtlinie.
違法輸出?
MSD子会社の、ヴェット・ファーマ・フリーザイト(Vet Pharma Friesoythe)社の3人の従業員は、(動物の安楽死薬)ペントバルビタールの輸出を担当しています。
ベルリン-オルテンブルク検察庁は、獣医用医薬品の違法な輸出に対して、クロッペンブルク地区の、ヴェット・ファーマ・フリーザイト(Vet Pharma Friesoythe)社の管理者と2人の従業員を起訴しました。
同社は2017年11月から2018年2月までに計5回、動物用医薬品(ペントバルビタール)を日本と米国に輸出した、と検察庁の広報官は金曜日に述べました。
医薬品には、有効成分のペントバルビタールナトリウムが含まれており、特別な承認を得てから輸出する必要があります。
外国貿易法違反の場合は最高で5年間の懲役刑か、または罰金が科せられます。
NDR(註 マスメディア名)と南ドイツ新聞(Süddeutsche Zeitung)の調査によると、数トンの「バイタナジアD」(Beuthanasia-D)注射液が動物を安楽死させるために使用されています。
有効成分であるペントバルビタールは、米国の刑務所で人々を死刑にするために繰り返し使用されており、EU拷問禁止命令の対象となります。
(動画)
日本国内の犬と猫の生体販売と殺処分について【どうぶつ愛護週間】長野駅前 2019年9月23日(祝)撮影 2019/09/25
「ガラスケースに入れての犬猫のペットショップでの販売は、日本や中国でしか行っていない。海外ではほとんど禁止されている」。日本ではこのような無知蒙昧な動物愛護団体がほとんどです。彼らに、ペントバルビタールと筋弛緩剤の薬理作用の違いを説明したとこで理解できる知能はないでしょう。ほぼ聴衆がゼロなのがせめての救いです。
今日本が直面している犬猫の殺処分の、優先順位が高い問題が何か、彼らには理解する知能知識がないのです。残念ながらこれが日本の動物愛護の現状で、動物福祉の向上は望むすべがないです。
(参考資料)
・動物の殺処分、ガス室と静脈注射の特徴
・筋弛緩剤の投与による動物の殺処分は安楽死にあたるのでしょうか。
・「FAQ:筋弛緩剤の投与による動物の殺処分は安楽死にあたるのでしょうか。」と「FAQ:動物の殺処分、ガス室と静脈注射の特徴」に米国獣医学会の研究会報告を紹介する日本獣医師会のページを追記しました。
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