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二酸化炭素死は安楽死である~二酸化炭素の殺処分反対は反動物福祉となった






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Domestic/inländisch

 「二酸化炭素死は安楽死ではないから反対」という、犬猫愛護(誤)活動が数年来先鋭化していました。そのために多くの動物愛護センターは二酸化炭素殺処分の設備を廃棄したりして、「動物愛護の先進度」をアピールしていました。現に、二酸化炭素による殺処分を廃止したとする自治体が多数あります。しかし実はむしろ二酸化炭素による殺処分を廃止したことにより、より苦痛な殺処分方法が採用され、動物福祉の後退を招いています。それは安楽死に用いる麻酔薬、ペントバルビタールの入手が困難になり、代わりに筋弛緩剤の単独投与で殺処分を行う愛護センターが出てきているからです。筋弛緩剤の単独投与による致死処分は安楽死ではありません。苦痛を伴う死です。


 まず最初に、犬猫などの安楽死方法についてですが、その定義をのべます。これは世界的に権威がある全米獣医師会(AVMA)の、「全米医師会 動物の安楽死におけるガイドライン 2020年版(「以下、全米獣医師会安楽死ガイドライン」と記述する)」AVMA Guidelines for the Euthanasia of Animals: 2020 Edition*)を以下に引用します。なおこのガイドラインは日本の環境省も過去に何度か引用しており、多くの国で参考にされています。
 ここでの安楽死の定義とは「動物の苦痛を最小化、もしくは排除する手法で、人為的に動物の寿命を終わらせること」です。具体的には麻酔下(痛みが遮断されている、もしくは意識喪失状態)で殺処分を行うことです。


What Is Euthanasia?
The term is usually used to describe ending the life of an individual animal in a way that minimizes or eliminates pain and distress.

安楽死とは?
この用語は通常、痛みや苦しみを最小化し、または排除する方法で個々の動物の寿命を終割らせることを表現するために用いられます。(6ページ)



 そのうえで、「全米獣医師会安楽死ガイドライン」では、推奨する具体的な安楽死方法を列挙しています。さらに推奨できない安楽死方法も具体的に列挙しています。
 日本で公的に行われている犬猫殺処分の手法ですが、上記の「全米獣医師会安楽死ガイドライン」で、推奨する安楽死の手法として列挙されているもののうち、おそらく2つだけです。1つは二酸化炭素の吸入であり、もう1つはペントバルビタール(麻酔薬)の注射です。「全米医師会 動物の安楽死におけるガイドライン 2020年版」(AVMA Guidelines for the Euthanasia of Animals: 2020 Edition*)の記述から、それぞれの説明を引用します。


1、二酸化炭素の吸入

 「全米獣医師会安楽死ガイドライン」では、二酸化炭素の吸入は、濃度管理が適切であれば速やかに深い麻酔効果を誘発するとして、推奨する安楽死の手法としています。

CARBON DIOXIDE
Inhalation of CO2 causes respiratory acidosis and produces a reversible anesthetic state by rapidly decreasing intracellular pH.
Both basal and evoked neural activity are depressed soon after inhalation of 100%.
Concentrations of 30% and higher cause deep anesthesia and death with prolonged exposure.

二酸化炭素
CO2の吸入は呼吸性アシドーシス(血液の酸化作用)を引き起こし、細胞内のpHを急速に酸化させることで可逆的な麻酔状態を作り出します。
100%の二酸化炭素の吸入後では、基礎的な神経活動と誘発性の神経活動はともにすぐに低下します。
30%以上の濃度は、長時間の暴露で深い麻酔効果をもたらし、死に至ります。(28ページ)



2、ペントバルビタールの混合薬(主に静脈注射)

 犬猫等の殺処分方法で、より苦痛が少ない安楽死とされる方法の一つは、ペントバルビタールという麻酔薬の投与です。本薬は、麻酔作用を発揮する量と致死量との差が少ないために動物の安楽死に用いるのに適した薬剤です。以下の記述ですが、ペントバルビタールの単体使用と混合薬は薬理効果は安楽死においてさほどの差はないとしています。混合薬は法律上扱いが容易ということです。ですからペントバルビタールもその混合薬も、全米獣医師会は安楽死として推奨しています。
 獣医学の分野で広く用いられる麻酔薬には、ケタミンがあります。しかしケタミンは、単独では死に至らしめることが難しいのです。そのために安楽死で用いるには、麻酔後に複数の処置が必要になります。多忙を極める行政獣医師にとっては、単独で安楽死が行えることは重要です。そのためにペントバルビタールは多くに国で犬猫などの安楽死薬として多用されてきました。 

PENTOBARBITAL COMBINATIONS
Several euthanasia products combine a barbituric acid derivative (usually sodium pentobarbital) with local anesthetic agents, other CNS depressants (eg, phenytoin, ethanol), or agents that metabolize to pentobarbital.
The pharmacologic properties and recommended use of euthanasia products that combine sodium pentobarbital with agents such as lidocaine or phenytoin are interchangeable with those of pure barbituric acid derivatives.

ペントバルビタール混合薬
いくつかの安楽死薬の製品はバルビツール酸誘導体(通常はペントバルビタールナトリウム)と局所麻酔薬、他の中枢神経系抑制薬(例、フェニトイン、エタノール)、またはペントバルビタールを代謝する薬剤を混合させています。
ペントバルビタールナトリウムとリドカインまたはフェニトインなどの薬剤を組み合わせた安楽死薬の製品の薬理学的特性と推奨される使用法は、純粋なバルビツール酸誘導体(ペントバルビタール)のものと互換性があります。



 サマリー記述した通り日本では、犬猫愛護(誤)活動家らが「二酸化炭素による殺処分は残酷で安楽死ではない。注射による安楽死に変更しろ」とかねてから、日本の公的機関(愛護センター)を攻撃してきました。
 そのために公的機関(愛護センター)は、動物愛護(誤)活動家らにおもねるために、二酸化炭素による殺意処分を廃止し、設備を取り壊したところもあります。そして「当施設では二酸化炭素による殺意処分を廃止しました」、「当施設は注射による殺処分に変更しました」と、動物愛護の先進性(?)を、動物愛護(誤)活動家らに、盛んにアピールしています。
 
 しかし犬猫の安楽死に用いられるペントバルビタールがEUの輸出禁止により、日本ではすでに入手ができない状態に陥っているのです。そのためにいくつかの公的機関(愛護センター)は、注射による殺処分ですが、ペントバルビタール(麻酔薬ですから当然死に至る前に麻酔状態になります。つまり本薬を使用する殺処分は安楽死です)に代わり、筋弛緩剤を単独で用い、殺処分を行うようになった公的施設(動物愛護センター)があります。
 筋弛緩剤は、筋肉の動きを止める効果があります。しかし疼痛抑制や意識喪失効果はありません。本薬を投与された動物は呼吸筋が動かずに、大変苦しい窒息死で死に至る、大変残酷な殺処分の手法です。全米獣医師会安楽死ガイドラインにおいても、筋弛緩剤の単独投与は安楽死として認めておらず、「殺処分の手法としては許容できない」としています。しかし筋弛緩剤を投与すれば動物は全く動きませんので、見た目には安楽死に見えます。まさに動物愛護(誤)活動家らの無知蒙昧が招いた、動物福祉の後退、動物虐待といえます。次回記事では、日本でのペントバルビタールの入手が不可能になった経緯と、筋弛緩剤の単独使用による殺処分が安楽死ではない根拠を述べようと思います(続く)。


(動画)

 Gas Chamber Euthanasia: What you might not know about your local animal shelter 「ガス室での安楽死:それはもしかしたら、あなたが地元のアニマルシェルターについて知らないものかもしれません」 2016年5月12日 から
 ノースカロライナ州の公的アニマルシェルターによるガス室での犬殺処分。この動画を盗用して、つぎはぎ編集して日本の殺処分とし、「日本ではこのような残酷な方法で犬猫を殺している。日本は動物愛護後進国だ」という内容の動画が一時期拡散されていました。




(画像)

 Megumi Takeda hat アニマルズジャパンs Video geteilt. 11. Februar um 13:01 · 、から。2018年2月11日。

 このアニマルズジャパンが製作したビデオのシーンですが、先のアメリカ合衆国ノースカロライナ州の、一酸化炭素による、殺処分のビデオのシーン(3:24~)が盗用されています。

ビデオ 盗用1


(参考資料)

動物の殺処分、ガス室と静脈注射の特徴
筋弛緩剤の投与による動物の殺処分は安楽死にあたるのでしょうか。
「FAQ:筋弛緩剤の投与による動物の殺処分は安楽死にあたるのでしょうか。」と「FAQ:動物の殺処分、ガス室と静脈注射の特徴」に米国獣医学会の研究会報告を紹介する日本獣医師会のページを追記しました。
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筋弛緩剤は眠るように死んでいくのですが実際には足掻かないだけで動物を殺すだけです
一方、二酸化炭素ガスは正しいやり方であれば福祉的に動物を殺すことができます
http://www.vets.ne.jp/faq/pc/love007.html
一見楽なように見えても科学的に評価しないとわからないんですよね‥

神奈川県の動物愛護センターが二酸化炭素ガスの装置を施設から無くしましたが病気の動物が現れてしまった時いちいち保定して殺処分するつもりなのでしょうか?

Re: タイトルなし

名無し 様、コメントありがとうございます。

> 筋弛緩剤は眠るように死んでいくのですが実際には足掻かないだけで動物を殺すだけです

ご指摘の通りです。
筋肉の動きを完全に止めるために、まったく動けず、見た目には安楽死に見えます。
ロシア語の動画ですが(ロシア人の動画作成者はスペインは動物虐待国としています)、スペインの野良犬監視員が公園で野良犬を集めて注射をしていました。
素人っぽいですから筋肉か皮下に注射していると思います。
たぶん筋弛緩剤だと思いますが、一瞬でコテンです。
インドでも、筋弛緩剤の注射での投与を路上でしている動画を見ましたが、一瞬です。


> 一方、二酸化炭素ガスは正しいやり方であれば福祉的に動物を殺すことができます

濃度が十分であることが必要と、AVMAも述べています。


> 神奈川県の動物愛護センターが二酸化炭素ガスの装置を施設から無くしましたが病気の動物が現れてしまった時いちいち保定して殺処分するつもりなのでしょうか?

ペントバルビタールがあるうちは、保定して静脈注射をしていたと聞いていますが?
かりに狂犬病が再び入ってきて、狂犬病の疑いが濃厚な大型犬を保定して静脈注射するのは行政獣医師さんも命がけです。

二酸化炭素の殺処分施設を廃棄した施設はかなりあるようですが、ペントバルビタールが入手できない状態は今後も長く続くと思われます。
となれば行政獣医師は、筋弛緩剤をケージの外から注射するという方法を採用するでしょう。
注射ですから、無知なうるさい愛誤が満足しますし、一瞬でコテンだと獣医師も安全で楽です。

さんかくたまご様

どこの愛護センターが二酸化炭素ガスによる殺処分を廃して筋弛緩剤による殺処分を行なっているのでしょうか?

Re: タイトルなし

名無し 様

> どこの愛護センターが二酸化炭素ガスによる殺処分を廃して筋弛緩剤による殺処分を行なっているのでしょうか?

この情報は、ペントバルビタールの供給ストップにより不適切な殺処分方法(筋弛緩剤)を行っている公的施設を問題視している獣医師さんのFaceBookのタイムラインから得た情報です。
具体的な施設名が挙がっていました。
しかしそのTLはのちに削除されました。
獣医師という立場から、具体的に施設名を名指しするのはいろいろと都合が悪いことがあったのではないかと推測します。
そのTLが削除されずに残っていたのならば、私からもお答えするのですが。
そういう事情です。
申し訳ありません。

私はソースがなければ記事にしない方針ですが、これは重大な事柄と思い、記事化しました。
しかしペントバルビタールの供給がストップし、二酸化炭素殺処分の反対が先鋭化している状況で、行政獣医師の多忙を考えれば、筋弛緩剤単独での殺処分は十分考えられることです。

さんかくたまご様

返信ありがとうございます

確かに二酸化炭素ガスの装置とバルビツールがなければ筋弛緩剤に頼る他ないですよね

数ヶ月に前にある愛護センターの見学をしましたが二酸化炭素ガスの装置までの経路の壁は動くようになっていて危険な疑いのある動物なら獣医師が触らなくても装置の中に入れられるようになっていました
アニマルウェルフェアへの配慮と獣医師の安全が両立されていて結構完成されたシステムなんですよね

現場の獣医師達がかわいそうです

Re: タイトルなし

名無し 様

> 確かに二酸化炭素ガスの装置とバルビツールがなければ筋弛緩剤に頼る他ないですよね

例えばケタミンや笑気ガスの麻酔薬で麻酔をかけてから筋弛緩剤や心停止を促す薬品を投与するという方法もあります。
しかし多忙な行政獣医師が複数の処置を行う余裕があるかどうか疑問です。
笑気ガスですと、保定してマスクをつけなければならず、例えば狂犬病が疑われる動物では危険すぎます。


> 数ヶ月に前にある愛護センターの見学をしましたが二酸化炭素ガスの装置までの経路の壁は動くようになっていて危険な疑いのある動物なら獣医師が触らなくても装置の中に入れられるようになっていました
> アニマルウェルフェアへの配慮と獣医師の安全が両立されていて結構完成されたシステムなんですよね

動物福祉も重要ですが、現場で処置をする獣医師の安全性も考慮しなければなりません。
その点では、二酸化炭素の設備による殺処分は、双方に配慮したよい方法だと私は思います。

うーん。。。。。代替え薬剤がないことはないのですが。
出来れば動物には回したくないところです。人用で使って欲しいですね、あれらは(苦笑)

大量に使うには薬価が高かったり入手が面倒だったりと言う薬剤もあります。
第1見た目だけですしね、眠るように死んでいくのは。

二酸化炭素の方がいいと私も思います。

Re: タイトルなし

一尺八寸 様

> 大量に使うには薬価が高かったり入手が面倒だったりと言う薬剤もあります。

ええそうなんです。
獣医師さんが言われるには、ペントバルビタールは安価で、かつ致死量が少なくて済むと。
それらを考慮すれば、ペントバルビタールの供給がストップすれば、行政が行う殺処分では二酸化炭素死を廃止すれば支障が出るということでした。


> 第1見た目だけですしね、眠るように死んでいくのは。

むかし、筋弛緩剤での殺人事件がありました。
犯人は、犬を殺処分するための筋弛緩剤を獣医師から入手したとあります。
筋弛緩剤による殺処分は、以前から日本では行われていたということでしょう。
https://ja.wikipedia.org/wiki/大阪愛犬家連続殺人事件


> 二酸化炭素の方がいいと私も思います。

同感です。
プロフィール

さんかくたまご

Author:さんかくたまご
当ブログのレコード
・1日の最高トータルアクセス数 8,163
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1959年生。
大阪府出身、東京育ち(中学は世田谷区立東深沢中学校、高校は東京都立戸山高校です)。
現在は、兵庫県西宮市在住です。
一人暮らしです。

趣味はクルマをコロガスこと(現在のクルマは4代目のメルセデスベンツです。ドイツ車では5代目)、庭での果樹栽培、家の手入れ掃除です。
20歳代前半から商品先物、株式投資をはじめ、30歳で数億円の純資産を得るが、その後空売りの深追いで多くを失う。
平成12年ごろから不動産投資を行い成功、現在50数戸を無借金で所有。
不動産投資では、誰も見向きもしなかったキズモノ、競売物件などをリノベーションする手法です。

なお、SNS、掲示板、QandAサイトなどでは、多数の本ブログ管理人の私(HN さんかくたまご)(武田めぐみ)のなりすまし、もしくはそれと著しく誤認させるサイトが存在します。
しかし私が管理人であるサイトは、このページのフリーエリアにあるリンクだけです。
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よろしくお願いします。

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