「ドイツでは飼い猫については自治体においても登録制度はない」は大間違い~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏

Please send me your comments. dreieckeier@yahoo.de
Bitte senden Sie mir Ihre Kommentare. dreieckeier@yahoo.de
メールはこちらへお寄せください。 dreieckeier@yahoo.de
(Zusammenfassung)
Gemeinden mit Kastrationspflicht Kastrations-, Kennzeichnungs- und Registrierungsverordnungen für Katzen.
Insgesamt gibt es heute mindestens 671 Städte und Gemeinden mit sogenannten Kastrations-, Kennzeichnungs- und Registrierungsverordnungen für Katzen.
記事、
・呆れた動物愛護(誤?)専門家たち~ペトことと武井泉氏、
・「ドイツでは飼い犬の登録制度がある自治体はただ一つ」は大間違い~呆れた動物愛護(誤)専門家、武井泉氏、
・続・「ドイツでは飼い犬の登録制度がある自治体はただ一つ」は大間違い~呆れた動物愛護(誤)専門家、武井泉氏、
の続きです。前回記事では、武井泉氏による、広島県から委託を受けて作成した、海外の動物愛護政策等に関するレポートが、嘘、誤り、偏向に満ちていてひどい内容であることを書きました。具体的には武井泉氏の記述、「ドイツでは自治体による犬登録制度がある自治体は一つである」は大間違いであることを書きました。ドイツでは全16州のうち14州で犬の登録を犬税とは別途に義務付けています。州による犬登録義務がないバイエルン州とザクセン州においても、傘下の自治体の多くが犬の登録義務を定めています。つまりドイツでは、ほぼすべての自治体で犬の登録義務が飼い主に課せられています。
今回記事では、武井泉氏が「ドイツでは自治体による飼い猫の登録制度はない」が大間違いであることを取り上げます。ドイツでは、ドイツ動物保護連盟の2018年の資料によれば、2017年時点で671自治体で飼い猫の登録義務(制度)が条例等により定められています。なお武井泉氏による資料はこちらです。動物愛護管理に係る海外調査報告書 平成29年8月 調査機関 三菱UFJリサーチ&コンサルティング。
サマリーで挙げた、武井泉氏による、「動物愛護管理に係る海外調査報告書 平成29年8月 調査機関 三菱UFJリサーチ&コンサルティング」ですが、ドイツ、イギリス、アメリカの動物愛護管理に関して述べられています。いずれも決定的な、明らかな誤りが多数あります。まず、ドイツに関する記述から取り上げます。
(画像)
動物愛護管理に係る海外調査報告書 平成29年8月 調査機関 三菱UFJリサーチ&コンサルティングから。

上記のスクリーンショットにある通り、武井泉氏は、「(ドイツでは)飼い猫については自治体においても登録制度はない」との記述をしています。しかしこれも誤りで、ドイツ連邦共和国では、飼い猫の登録義務、個体識別を義務化している自治体が多数あります。2017年時点でドイツ動物保護連盟が把握している数は、671自治体に上ります。
またこれは義務規定で、多くの自治体では罰金が1,000ユーロ程度と条例で定めています。以下に、ノルトライン-ヴェストファーレン州ボン市の条例を、実例としてあげます。
Ordnungsbehördliche Verordnung - Bonn
über die Kastrations-, Kennzeichnungs- und Registrierungspflicht für Freigängerkatzen im Gebiet der Bundesstadt Bonn.
§ 1 Geltungsbereich
Diese Verordnung gilt im Gebiet der Bundesstadt Bonn für Katzenhalterinnen und Katzenhalter, die ihrer Katze Zugang ins Freie gewähren.
§ 2 Kastrations-, Kennzeichnungs- und Registrierungspflicht
Katzenhalter innen und Katzenhalter im Sinne des § 1 haben ihre Katze, sobald sie fünf Monate alt ist, von einem Tierarzt bzw.
einer Tierärztin kastrieren und mittels.
Tätowierung oder Mikrochip kennzeichnen zu lassen, bevor der Katze Zugang ins Freie gewährt wird.
Die tätowierten oder per Mikrochip gekennzeichneten Tiere sind in einer hierfür geeigneten Datenbank zu registrieren.
§ 5 Ordnungswidrigkeiten
(1) Ordnungswidrig handelt, wer vorsätzlich oder fahrlässig entgegen.
(2)des Gesetzes über Ordnungswidrigkeiten mit einer Geldbuße bis zu tausend Euro geahndet werden.
ボン市(ノルトライン-ヴェストファーレン州)-猫飼育規制に関する市条例
ボン市内の屋外猫のための去勢、識別および登録の義務について
第1条 適用範囲
この条例は、ボン市内における、屋外にいることが許可される猫の飼育と猫の所有者に適用しなければなりません。
第2条 去勢ー個体識別及び登録義務
猫の飼い主及び第一条で定義された猫の飼育者(屋外で飼育行為をする者)は、それらの猫が生後5ヶ月になるまでに獣医師によって去勢しなければなりません。
猫が屋外に出す前に、イレズミやマイクロチップによる目印をつけること。
イレズミまたはマイクロチップにより猫は目印を付けられて、それに応じて(ボン市の)データベースに登録されます。
第5条 犯罪
(1)故意又は過失により違反したものは行政犯罪となります。
(2)法律に基づき、10,000ユーロまでの罰金により、行政犯罪として処罰されます。
条例の条文中の、Registrierungspflicht ですが、明白に「登録が義務」としか解釈できません。pflicht ですが、三修社 新現代独和辞典第3刷 p1018によれば、「①義務、責務 ②利子、税」とあります。それと、違反者は1,000ユーロの罰金が科され、強制力を伴っていますから、完全に「義務」であり、任意の登録制度ではありません。自治体による、飼い猫登録制度です。
ボン市以外にも、ドイツでは多くの自治体(2018年時点で671自治体)が飼い猫の登録義務を条例で定めています。ドイツ動物保護連盟(Deutscher Tierschutzbund.e.v)は、ドイツ国内の、飼い猫の登録などの義務化(すなわち「(強制的な)飼い猫の登録制度を導入」している自治体のリストを作成しています。
Gemeinden mit Kastrationspflicht Kastrations-, Kennzeichnungs- und Registrierungsverordnungen für Katzen 「猫の去勢義務がある自治体 猫の去勢、識別および登録規制」 ドイツ動物保護連盟 2018年資料(なおこの資料から、猫の登録義務を定めている自治体リストに飛ぶようになっています)。
Mittlerweile gibt es immer mehr Orte mit geänderten Kommunalverordnungen.
Insgesamt gibt es heute mindestens 671 Städte und Gemeinden mit sogenannten Kastrations-, Kennzeichnungs- und Registrierungsverordnungen für Katzen.
Zuständigkeitsverordnungen auf Basis § 13b Tierschutzgesetz existieren mittlerweile in folgenden Bundesländern: Baden-Württemberg, Bayern, Hessen, Mecklenburg-Vorpommern, Niedersachsen, Nordrhein-Westfalen, Rheinland-Pfalz, Schleswig-Holstein und Thüringen.
Um das Problem der immer weiter anwachsenden Katzenpopulationen einzudämmen, schlägt der Deutsche Tierschutzbund gemeinsam mit den ihm angeschlossenen Tierschutzvereinen eine möglichst flächendeckende Kastrations-, Kennzeichnungs- und Registrierungspflicht für Katzen vor.
一方ドイツ連邦共和国においては、市規則(註 猫の去勢、個体識別、登録義務)の改正された市はますます増えています。
猫のためのいわゆる去勢、個体識別、登録規則を持つのは、少なくとも671の市と自治体があります。
ドイツ連邦動物保護法(Tierschutzgesetz)13条に基づく、委任規則は、バーデン・ヴュルテンベルク州、バイエルン州、ヘッセン州、メクレンブルク・フォアポンメルン、ニーダーザクセン州、ノルトライン・ヴェストファーレン州、ラインランド・プファルツ州、シュレスヴィヒ・ホルスタイン州およびチューリンゲン州に現在存在します。
絶え間なく繁殖し、増殖している猫の集団の問題を抑制するために、ドイツ動物保護連盟は、関係する動物保護団体とともに、ドイツ全土で猫の去勢、個体識別および登録義務を提案しています。
ドイツ動物保護連盟が把握しているだけで、飼い猫の登録義務(当然「制度」と言える)を制度化している自治体は、2018年公表資料で671自治体もあります。つまり武井泉氏の広島県の委託を受けて作成した報告書の記述、「(ドイツでは)飼い猫については自治体においても登録制度はない」は真っ赤な嘘、もしくは大間違いです。「ドイツ動物保護連盟へのヒアリングによると」とありますが、当の動物保護連盟が「ドイツでは671自治体で飼い猫の登録義務(制度)がある」という資料を制作し、公表しているのです。さらにドイツ動物保護連盟は、「飼い猫の自治体による登録制度を導入することを推奨する」としています。また、ドイツで近年、飼い猫の登録制度を導入する自治体が激増している背景は、ドイツ連邦動物保護法(Tierschutzgesetz)の2013年改正で、13条に「猫の繁殖制限(不妊去勢、個体識別、登録)を自治体や州に立法を促す」条文を盛り込んだことによります。ですから動物保護連盟が、「ドイツでは猫の登録制度がある自治体はない」と発言するわけがありません。武井泉氏は、いい加減な嘘誤りはやめていただきたい。
これは序の口で、58ページに及ぶ資料にはぎっしりと、嘘、誤り、偏向で埋め尽くされています。この資料の誤りを指摘するだけでだいぶこちらの紙面を取られてしまいますが、広島県の委託を受けての報告書ですから指摘しなければならないと思います。しばらくお付き合いください。公費を使った受注でこの有様です。日本の動物愛護の(自称?)専門家のレベルはこれほどまでにひどいのです。
(自称)専門家の無知蒙昧は呆れるだけではなく、日本の自治体の施策まで悪影響を及ぼす可能性があります。日本の自治体の一部では、飼い猫のマイクロチップによる個体識別を義務化しており、さらには自治体登録まで視野に入れているところもあるでしょう。わざわざ公費を支出して、武井泉氏のような方に、海外の調査を依頼する目的は、海外の施策を参考にすることです。となれば「先進国で飼い猫の登録を制度化している自治体が一つもない。日本も必要ない」という、真逆のバイヤスが働きます。無駄な公費の支出も相まって、このような無能(もしくは意図的な嘘つき?)な(自称)動物愛護専門家は実に有害です。
武井泉氏による、「動物愛護管理に係る海外調査報告書 平成29年8月 調査機関 三菱UFJリサーチ&コンサルティング」ですが、完全な誤り、もしくは完全に誤りとは断言できないものの、きわめて誤りに近い偏向した記述が満載です。折々連載で取り上げていきますが、重大な、明らかな誤りには、次のような記述があります(そのほかにも満載ですが)。
「イギリスでは、Pet Animals Act 1951という法律により、ペットショップでのペットのケージによる展示販売が禁止されている。また、ペットショップの開業は(地方)議会の承認が必要である」。
真実は、イギリスは、Pet Animals Act 1951においては、ペットショップでのペット生体のケージ展示販売を禁じていません。同法では、犬猫などの展示ケージの最低面積を定めています。例えば犬ですが最低の展示ケージの大きさは、「肩の高さの2倍か50㎝以上、奥行きは90㎝以上」などです(Pet Animals Act 1951Pet Shop Conditions)。
それと、Pet Animals Act 1951においては、ペットショップの免許の交付に議会の承認が必要などとは規定がありません。地方自治体(行政)です。おそらく council の誤訳と思われます。イギリス英語においては、council は市などの自治体を意味します。
- 関連記事
-
- 違法なわなで殺害されるドイツの猫~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏
- わなで殺傷されるドイツの猫と犬~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏
- 「猫を放し飼いにして隣人に被害を及ぼせば25万ユーロ(約3,300万円)までの制裁金を科す」というドイツの判決
- 「ドイツでは飼い猫については自治体においても登録制度はない」は大間違い~呆れた動物愛護(誤?)専門家、武井泉氏
- ドイツでも不凍液が猫の殺害に使われる
- 60匹以上の猫が毛皮目的で猫獲り業者にさらわれた?~ドイツ、チューリンゲン州
- 「猫は人を襲わない」は大嘘~ドイツ編