「大学猫」は是か非か~ペンシルベニア州の自治体TNR禁止条例



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(Summary)
Lebanon County feeding bans draw ire of feral cat lovers
In response to complaints about a “feeder” on Walker Street, the council voted earlier this month to advertise an ordinance banning the feeding of stray animals like cats, squirrels and skunks.
Not everybody loves TNR.


 記事、
「大学猫」は是か非か~福井大学でのトラブル
「大学猫」は是か非か~アメリカ、ロサンゼルス郡では教育施設構内での餌やりは全面禁止
「大学猫」は是か非か~アメリカ、フロリダ州立大学は餌やり禁止で猫戦争が頻発、の続きです。
 福井大学構内で野良猫への餌やりをしていたチャールズ・ジャヌッツイ准教授は、大学から給餌を禁じられました。ジャヌッツイ准教授の出身地はアメリカ合衆国、ペンシルベニア州ですが、極めて厳しい「懲役1年までの刑事罰と罰金の併科」で野良猫の給餌を禁じる自治体があります。この自治体は、厳格な管理のもとでのTNRを許可していますが、「例外なく野良猫への給餌を禁じる自治体」がペンシルベニア州ではいくつかあります。出身国で禁じられている迷惑行為を、外国の勤務地でするとは呆れた人物です。



 記事、「大学猫」は是か非か~福井大学でのトラブル、で引用した、福井大学でのチャールズ・ジャヌッツイ福井大学准教授の、大学構内での餌やりを報じるニュースソースを再び引用します。福井大学がキャンパス内の猫の世話を禁止、猫たちの未来は。2015年5月30日。


チャールズ・ジャヌッツイ氏は25年間、彼が勤める大学敷地内に暮らす野良猫の繁殖抑制に取り組んできた。
しかし現在、大学側との対立を余儀なくされている。
キャンパス内にいる野良猫への餌やりやその他の世話の一切が禁じられたため、ジャヌッツイ氏はインターネット署名を開始した。
ジャヌッツイ氏は、福井大学文京キャンパスで長年准教授を務めてきた。
ペンシルバニア出身のジャヌッツイ氏、「野良猫の世話は子供の時からしていました。福井に来てからもすぐ世話を始めました。周辺には見捨てられた野良猫だらけでしたから」。
それはTNRと呼ばれる、野良猫を捕獲(Trap)して去勢(Neuter)を施した後、元の場所に戻す(Release)活動を実践している。
「大学側は現在、キャンパス内での猫の餌付けを一切禁じ、私にも活動をすべて止めるように言い渡しました」。



 ジャヌッツイ准教授に同情し、「だから日本は動物愛護後進国だ」、「福井大学は餌やりを認めるべきだ」といった意見がインターネット上で散見されます。しかし25年間もTNRを行ってきて、野良猫が減らないとは、TNRが効果がないということの証明にほかならないでしょう。また、25年間も餌やりを黙認してきた福井大学の温情や忍耐にも感心します。
 ジャヌッツイ准教授は、故郷のペンシルベニア州で野良猫の給餌をしていたとありますが、この記述も「アメリカでは野良猫への給餌は寛容。日本は動物愛護に遅れている」と誤認させる記述で好ましくないと思います。では、ジャニッツイ准教授の出身地、ペンシルベニア州では、野良猫への給餌はどうなのでしょうか。

 ペンシルベニア洲には、2,562の自治体があります(ペンシルベニア州)。そのうちで、TNRを制度化して、認可されたTNRマネジメントに限り、給餌が許可される自治体は6自治体です(ごく最近条例が施行されたタウンシップがありますが、それを加えても7自治体です。List of governments supporting trap-neuter-return)。
 多くの自治体では、野良猫などへの給餌を条例で禁じています。今年の10月に、「最高刑を懲役1年と罰金の併科」で野良猫への給餌を禁じる条例が施行されたミルホール自治区があります。なお、ミルホール自治区は、条件を満たして認可を受けたTNRに限り、野良猫への給餌を認めています。この件に関しては、私は記事にしています。野良猫の餌やりの最高刑は懲役1年と罰金の併科~アメリカ、ミルホール市
 一方、ペンシルベニア州では、例外なく、つまりTNRを行ったとしても野良猫への給餌を禁じる自治体がいくつかあります。今年の9月に、条例が施行された自治体の例を挙げます。Lebanon County feeding bans draw ire of feral cat lovers 「レバノン郡の給餌禁止条例は野良猫偏愛者の怒りを招く」。2017年7月28日。


They’re a major carrier of rabies, according to the Centers for Disease Control and Prevention – and they can simply be annoying.
This suggests that all these efforts without an effective education of people to control the reproduction of house cats (as a prevention for abandonment) are a waste of money, time and energy.
Critics say the supposed scientific proof of TNR’s success is really wishful thinking by animal lovers who wish to avoid what wildlife writer Richard Conniff called the “deeply dispiriting business” of euthanizing cats.
One Cornwall resident living near a “feeder” of stray cats said that as many as 15 cats will tear through her trash bags, dig through her flower beds to use them as a litter box, and keep her awake at night with cat fights.
In response to complaints about a “feeder” on Walker Street, the council voted earlier this month to advertise an ordinance banning the feeding of stray animals like cats, squirrels and skunks.
Not everybody loves TNR.
Supporters and opponents of TNR agreed that it must comprehensively neuter most cats in a target area in order to be effective, and therefore requires substantial time and manpower.
Conniff said that he would instead like to see municipalities remove feral cats from public areas, and either make them available for adoptions or euthanize them.
The Myerstown Borough Council passed an ordinance in September 2016 banning feeding completely.
A move one TNR advocate calls “panic policy making” and “criminalizing kindness.”

野良猫は、アメリカ連邦疾病対策予防センター(the Centers for Disease Control and Prevention CDC)によれば、狂犬病の主要な媒体であり、単に迷惑だとしています。
TNRのすべての努力は、飼い猫の繁殖を抑制するための(捨て猫防止のための)、人々に対する効果的な教育がなければ、お金、時間、エネルギーが無駄になることを示しています。
野生動物に関する作家であり、評論家である、リチャード・コニフ氏は、TNRの成功の科学的な証明は、「ひどく失望させるビジネス」と呼ばれる猫の安楽死を避けたいと望んでいる、動物愛好家による希望に過ぎないと言います。
あるコーンウォールの居住者は、野良猫の「餌やりさん」の近くに住んでいると、15匹もの猫がゴミ袋を破り、自分の家の花壇を掘りおこしてゴミ箱に使い、夜になると猫のケンカで目を覚ますと語りました。
ウォーカー・ストリートの「餌やりさん」に関する苦情を受けて、自治体議会は今月、猫、リス、スカンクなどの野生動物への給餌を禁止する条例を公布するための採決を行いました。
誰もがTNRを好ましいとはしていません。
TNRの支持者と反対者の双方が、TNRが効果的であるためには、ターゲットとする地域のほとんどの猫すべてで不妊去勢しなければならず、したがって相当な時間と人員が必要であることに同意しました。
コニフ氏はTNRの代わりに、地方自治体が野良猫を公共の場所から排除し、飼い猫として譲渡したり、安楽死させたりすることを望むと述べました。
マイヤーズ・タウン・ボローの自治体は、2016年9月に完全に給餌を禁止(註 いかなる場合でも。もちろんTNRを行ったとしても)する条例を可決しました。
一人のTNR擁護派は、それを「恐怖の政策策定」、そして「優しさに対する犯罪だ」と呼びかけました。



 迷惑餌やり(nuisance feeder)のチャールズ・ジャヌッツイ准教授ですが、生まれ故郷のペンシルベニア洲では、刑事処罰を受ける可能性がある行為を、外国の勤務先だから強硬にしようというのでしょうか。日本は、野良猫の餌やりに対しては寛容です。福井大学も相当忍耐を重ねてきたと推測します。
 その上で、日本のペット産業の的はずれな批判をして、自らの迷惑行為を正当化しようという魂胆は相当厚かましいです。アメリカの方がはるかに犬猫の殺処分が多いですし、野良猫への給餌に対する処罰は厳しいです。福井大学の餌やり禁止措置は、当然だと私は思います。


(動画)

 同志社大学キャンパス猫。2016/02/29 に公開。2014年5月 同志社大学京田辺キャンパスにて。同大学敷地内には、沢山の猫が生息しています。
 Do-Cat(同志社猫サークル) (@Do_Cat_C) | Twitter。京田辺キャンパスが活動中心地。大学は、構内の衛生状態などを考えないのでしょうか。これは猫の交尾行動です。大学猫って、不妊去勢しているんじゃないのですか?




(追記)

 福井大学構内での、野良猫餌やり禁止についてご存知の方からコメントをいただきました。以下に引用します。「大学猫」は是か非か~福井大学でのトラブル

該当大学の関係者です.
結論を先に申しますと,「大学猫」とやらの活動は現在行われておりません.
この大学猫活動は,ニュース・ソースにある教員が,キャンパス内の取り壊し予定の空き校舎を利用して行っていました.
ある日突然,学長(理事だったっけ?)から餌やり禁止のメール配信があって,構成員全員がようやくある程度の事情を知ったのです.
その後は一部の人間による抗議活動があり,署名が学長や理事の元に届けられたのかもしれません.
2017-11-17(00:46) : ネコ大好き 様

2千数百人の人署名が集まったというのも,このニュースソースを見て初めて知ったくちです.
この2千人の内訳はわかりませんが,インターネットで集めたということらしいので,東京や大阪など無関係の人たちが混じっていることは確かでしょう.
もし,本当に大学猫活動に理解を求め,大学当局の決定を覆したいなら,何で署名簿を持って正門に立ち,また各構成員を順番に回って署名を集めなかったのか.
どうみてもデメリットの方が大きく,大学猫は認められません.
「エサやり禁止」のお達しが来て,その後何事もなく,気が付いたら空き校舎近くから猫がいなくなっていた,と言うのが一構成員の偽らざる感想でございます.
2017-11-17(23:37) : ネコ大好き 様

 やはりといいますか。私がかねてより主張していることですが、「野良猫被害を解消するには、最も効果が高いのは徹底的に餌やりを禁じることである。それだけで9割以上が問題解決となる。捕獲して殺処分する必要すらない」の実例を、「ネコ大好き」様が紹介してくださいました。ジャヌッツイ准教授が25年間もTNR活動をしても野良猫はいなくならなかったのに、2015年に餌やりを禁止して以降、最長でも2年で野良猫が消滅したのです。
 アメリカでは2014年頃に、TNR活動を原因とする発疹チフスがカリフォルニア州の自治体で流行し、多くの人が感染しました。その事件以降に、アメリカの自治体で「例外のない野良猫への給餌禁止条例」の成立が増えています。日本でも、明らかに効果がなく、デメリットだけの地域猫活動が否定され、給餌禁止へと方針転換するには、重大な地域猫活動を原因とする感染症が流行するまで待たなければならないという気がします。
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「大学猫」は是か非か~アメリカ、フロリダ州立大学は餌やり禁止で猫戦争が頻発



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 記事、
「大学猫」は是か非か~福井大学でのトラブル
「大学猫」は是か非か~アメリカ、ロサンゼルス郡では教育施設構内での餌やりは全面禁止の続きです。
 記事、「大学猫」は是か非か~福井大学でのトラブル、で取り上げたことですが、福井大学では野良猫に餌やりをしている准教授とそれを禁止するとした大学との間でトラブルがありました。アメリカにも同様のケースがあります。フロリダ州立大学では構内の野良猫の餌やりを禁じています。さらに「有害生物管理」の専業職員を配置し、大学構内の野良猫を捕獲し、行政に引き取らせています(そのほとんどが安楽死となります)。「構内の野良猫への給餌禁止」、「捕獲(事実上の殺処分)」は、フロリダ州立大学以外の大学でも行っています。



 サマリーで示した、フロリダ州立大学での、野良猫に給餌している大学職員と、大学との間の紛糾について報じる記事から引用します。若干古い記事ですが。UF faces struggle over what to do about feral cats 「フロリダ州立大学は、野良猫をどうすべきかで苦労しています」。2012年10月15日。


Worden and other employees of UF’s business college have long fed feral cats on campus, some that made homes in the crawl space below Bryan Hall.
Last week, UF’s pest management coordinator ordered the grates blocking the crawl spaces to be secured to keep animals from getting in.
After an office worker Monday heard the cries of a cat that had been unintentionally trapped under the building, Worden brought a crowbar from home and pried open a couple of the grates.
The situation is the latest conflict between campus cat lovers and the university workers tasked with controlling the animals as pests.
UF policy bans the feeding of feral cats on campus in part to prevent the insects that can be attracted by the food.
The university’s pest management department captures feral cats and brings them to Alachua County Animal Services, where they’re euthanized unless adopted.
About 100 cats roam free on campus, a designated wildlife sanctuary, often killing birds and other native animals.
The cats also spread fleas and disease.
Worden and other cat lovers object to UF’s policy because it leads to cats being euthanized.
The University of Central Florida and other universities have done similar programs on their campuses.

ウォーデン氏とフロリダ州立大学のビジネスカレッジの他の職員たちは長い間、大学構内で野良猫の給餌をしていました。
そのうちの何人かは、ブライアンホールの床下にあるスペースに、野良猫ハウスを作りました。
先週のことですが、フロリダ州立大学の有害生物管理のコーディネーターは、床下のスペースに動物の侵入を防止するための格子を設置する工事を発注しました。
大学職員が月曜日に、建物の床下で意図せず閉じ込められた猫の叫び声を聞いた後に、ウォーデン氏は家からかなてこを持ってきて、格子の何箇所をこじ開けました。
この状況は、構内の猫愛好家とその動物(=猫)を有害生物として管理することを任された大学の従業員との間の、最近の対立です。
University of Florida(UF=フロリダ州立大学)の方針は、大学構内の野良猫への給餌の一部を禁止していますが、餌に惹きつけられる害虫を防ぐというものです。
大学の有害生物管理部門は、野良猫を捕獲し、貰い手がなければ安楽死させる、アラチュア郡のアニマルサービス(不要動物を収容する行政施設)に運びます。
約100匹の猫が野生動物保護区に指定された大学構内で自由に徘徊し、鳥や他の在来動物を頻繁に殺しています。
さらに猫は、ノミと病気も拡散させました。
ウォーデン氏や他の猫愛好家は、猫を安楽死させるために、フロリダ州立大学の方針に反対しています。
(フロリダ州立大学以外の)セントラルフロリダ大学や他の大学でも、大学構内での同様のプログラム(野良猫の給餌禁止と捕獲~行政施設への持ち込み、つまり殺処分)を行っています。



 私個人としては、福井大学の構内の野良猫の餌やりを禁じたことは英断だと思います。「アメリカやドイツ(ドイツでは2015年に連邦法で野生動物の給餌を禁止しました。ドイツでは法律上は、非占有猫は野生動物です)では、大学での野良猫の餌やりは日本と異なり寛容である」という情報や、それと著しく誤認させるメディアの報道があります。しかし、それは例外をことさら強調したものであったり、その事実が疑われるケースもあります。
 ところで、フロリダ州立大学での野良猫への給餌は、私はかなり以前に記事にしています(フロリダ州立大学を見習って、日本も動物愛護先進国になろう。2012年)。この記事でリンクした、フロリダ州立大学の構内での野良猫給餌禁止方針ですが、次のようにあります。


Florida Statutes Chapter 386 Section .041 prohibits specific actions that contribute to conditions “injurious to public health”.
The feeding of non-domestic (feral) cats contributes to adverse health and safety issues including fleas,rabies, property damage and native wildlife depletion that all impact our beautiful campus.
Therefore, individuals or groups will not be allowed to feed feral cats.
EH&S Pest Management technicians are authorized to remove any animal food and containers found on campus grounds.

フロリダ州法では、公衆衛生に有害な条件を満たす、特定の行為を禁止しています。
在来種ではない野良猫への給餌は、私たちの美しい大学構内で、健康への悪影響やノミ、狂犬病、物的損害と野生生物の絶滅のおそれなど、他にも全ての安全性に問題を及ぼします。
野良猫は、ほかの人の安全や健康を危険に晒していると自覚がない人から餌をもらうことに依存します。
したがって、個人やグループが野良猫に対して給餌を行うことは許されません。
害獣駆除技術者は、大学内で見つかったすべての動物の餌や餌容器の廃棄を行います。



(参考資料)

Feral Cat Colonies in Florida: Legal and Policy Considerations  A Report to U.S. Fish & Wildlife ServiceDecember 2002University of Florida Conservation ClinicPamela Jo Hatley, J.D. Candidate, 2003Thomas Ankersen, Director
 「フロリダ州野良猫の一群管理:法的および政策に関する考慮事項」。

TNRによる野良猫の管理は、・野生生物に対する捕食などの悪影響、・感染症のリスク、・TNRにより野良猫を減少させることは不可能、であることから、TNRを否定しています。


(動画)

 長崎大学猫 2016/06/14 に公開。「大学猫シンポジウム」の中心大学の一つであり、地域猫(つまり不妊去勢を行い、繁殖制限をする)を行っているとしています。しかしなぜ繁殖制限をしているのに、幼齢猫がいるのですかね(大笑い)。




 大学で産まれた子猫がクソ可愛い 2012/06/26 に公開。こちらも大学内で不妊去勢をして増やさないことを前提とした地域猫活動をしているという、慶應義塾大学のビデオ。

「大学猫」は是か非か~アメリカ、ロサンゼルス郡では教育施設構内での餌やりは全面禁止



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(Summary)
An Army of Cat Lovers Is Feeding L.A.'s Feral Felines. Should They Be?
The Los Angeles Unified School District includes feral cats on its "Pest Management" guide and bans the feeding of cats on campus due to the risk they pose to children.


 記事、「大学猫」は是か非か~福井大学でのトラブル、の続きです。日本では近年、大学構内での地域猫的活動が増えつつあるようです。大学から公認を得て、組織化して行っているケースもいくつかあります。対して大学構内での給餌などの、地域猫的活動を禁止した福井大学があります。アメリカ合衆国では、教育施設の構内での野良猫への給餌を一律で禁じている自治体があります。構内での餌やりなどを禁じ、野良猫を捕獲して行政組織に引き取らせている(多くが殺処分される)フロリダ州立大学などもあります。近年では、アメリカではTNR活動であっても、給餌を禁じる条例がむしろ増えつつあり、それに伴い、大学などの教育施設においても野良猫の給餌を禁じるケースが増えているように思います


 まず、自治体内の教育施設内での野良猫への給餌を一律に禁じている、アメリカ、ロサンゼルス郡のケースです。An Army of Cat Lovers Is Feeding L.A.'s Feral Felines. Should They Be? 「猫偏愛者の軍隊は、ロサンゼルスの野良猫へ餌やりをしています。それはするべきことでしょうか?」。2015年3月31日、から引用します。


Feeders might be doing as much harm as good.
There are a lot of feral cats in L.A.; though it's impossible to truly get a handle on the population, estimates of Los Angeles County's feral cat population range from 1 million to 3 million across the county — which could be as many as one cat for every four humans.
The Los Angeles Unified School District includes feral cats on its "Pest Management" guide and bans the feeding of cats on campus due to the risk they pose to children.
The L.A. County Department of Public Health advises residents to avoid any interaction with feral cats.
Because they might be carrying fleas infected with typhus, which can spread to humans through the fleas' feces or bite.
L.A. County documented 379 cases of flea-borne typhus between 2001 and 2014, according to the state Department of Public Health.
Feral cats may also carry toxoplasmosis, a parasitic disease that's spread through a cat's feces.
Symptoms often begin like a flu but in extreme cases can develop into seizures, brain infections and schizophrenia.
Pregnant women and those with compromised immune systems are especially at risk.

野良猫への餌やりは、良いことをしていると思っていながら、実は多くの損害を与えているかもしれません。
ロサンゼルス郡には多くの野良猫が存在し、その正確な数を把握することは不可能ですが、ロサンゼルス郡の野良猫の数の推定値は、郡全体で100万〜300万の範囲です- それは人4人につき1匹の猫の割合になる可能性があります。
ロサンゼルスでは、すべての学区は一律に野良猫は「有害動物管理」指針に記載されているとおり、子供たちに与えるリスクにより、学校構内においては猫への給餌を禁止しています。
ロサンゼルス郡公衆衛生局は、野良猫との相互作用を避けるように住民に助言しています。
なぜならば、野良猫はチフスに感染したノミを持っているかもしれませんし、チフスがノミの糞やかみ傷から人に伝染する可能性があるからです。
ロサンゼルス郡の公衆衛生省によると、2001年から2014年までの間に、379のノミ媒介性発疹チフスの症例を報告ました。
野良猫はまた、猫の糞便を通じて広がる寄生虫性疾患である、トキソプラズマ症を感染させる可能性があります。
トキソプラズマ症の症状はしばしばインフルエンザのように始まりますが、極端な場合には発作、脳の感染症および統合失調症に発展する可能性があります。
妊娠している女性や、免疫システムが損なわれている人は特に危険にさらされます。



 カリフォルニア州ロサンゼルス郡のケースは、行政指導により教育施設構内での野良猫への給餌を禁じています。しかし私有地内であっても、TNR活動の一環であっても、いかなるケースにおいても、野良猫(飼い猫登録が無登録)への給餌を禁じる条例がアメリカの自治体ではいくつもあります。そのような自治体では、自動的に大学内での餌やりが禁止されることになります。
 例えば、ニュージャージー州の、ウエスト・オレンジ・タウンなどがそうです。New Jersey Town Bans Feeding Stray Cats 「ニュージャージーの町は、野良猫への給餌を禁じた」。2014年9月14日、から引用します。


The New Jersey town of West Orange just announced a complete ban on feeding stray cats.
Residents and visitors have been prohibited from feeding strays or wildlife anywhere in the town.
Now the law outright bans even the feeding of animals of any kind, anywhere in the town, including on their own private property.
The ordinance has sparked a debate as feeding strays is part of the implementation of the TNR Program.
The new law would make this illegal.

ニュージャージーのウェスト・オレンジ・タウンでは、野良猫への給餌を完全に禁止すると発表しました。
住人や訪問者は、町のいかなる場所においても、野良犬猫や野生生物に給餌することが禁止されます。
現在法律は、自己所有の私有地内を含め、町のいかなる場所においても、あらゆる種類の動物の給餌を禁止しています。
条例は、TNRプログラムが実施されている猫の一部にとっては、栄養失調をもたらすとの議論を巻き起こしています(註 つまりTNR活動であっても給餌は禁じられる)。
新しい法律では、TNRに伴う給餌は違法となります。



 既に書いたとおり、ロサンゼルス郡は、郡内で一律に、学校内での野良猫への給餌を禁止しています。理由は、野良猫がもたらす感染症のリスクです。野良猫は自由に徘徊し、給餌を行っている学校の構内にとどまらず、周辺の住民にも感染症のリスクを及ぼす可能性があります。ロサンゼルス郡においては、2014年頃に、野良猫が拡散させたノミにより発疹チフスが流行しました。行政の中止指導に従わずにTNRマネジメント活動を続けた動物保護団体のTNR猫により、人への発疹チフス感染がありました。TNRを行っていた団体は、刑事訴追を受けました。これは私も記事にしています(TNRマネジメントにより発疹チフスが流行したアメリカの事例~野良猫は公衆衛生上の脅威であるTNRにより発疹チフスを拡大させた団体は刑事訴追に直面している~アメリカ、カリフォルニア州オレンジカウンティー)。
 日本では、発疹チフスの発症は近年確認されていませんが、新しい感染症が出現しています。例えばマダニが媒介するSFTSですが、感染したマダ二のみならず、猫と犬からの感染も確認されています。猫から感染した患者さんは死亡しました。猫は、感染マダニを拡散させます。また、猫から直接無関係な人へ感染する可能性があります。

 アメリカの大学では、構内での野良猫の餌やりを全面的に禁止しているところがいくつもあります。その一つがフロリダ州立大学です。フロリダ州立大学では、「有害生物管理専業職員」を大学内に配置しています。野良猫の餌は見つけ次第廃棄します。そして野良猫を捕獲し、郡のアニマルサービスにそれらの野良猫を持ち込む(多くは殺処分される)という、かなり強硬な手段を講じています。
 次回は、このフロリダ州立大学について書きます。フロリダ州立大学では、強硬な野良猫の給餌禁止をしていますが、それでも強引に大学構内で餌やりをする職員などが絶えないようです。その対立は、福井大学の比ではないかもしれません(続く)。


(動画)

 ディズニーランドに住み着いたニャンコたち / 推定200匹が “勤務中”。2014年11月24日公開。いまだにカリフォルニア州のディズニーランド園内では猫のTNR活動が行われており、「TNRの素晴らしい成功例。カリフォルニア州のディズニーランドは猫の楽園」との嘘情報が拡散されています。本当に嘘情報の拡散の有害はなはだしい。
 しかし、真実は次のとおりです。カリフォルニア州のディズニーランドの猫TNR活動は、2008年にカリフォルニア州行政裁判所により停止命令が出されていました。それにもかかわらず違法に続けられていたのです。さらに周辺自治体で、TNR猫が原因とされる発疹チフスが流行し、例外のない野良猫への給餌を刑事罰で禁じる条例が制定されました。ディズニーランドは、来場者の安全のためなどにより、2015年に園内の猫をすべて殺処分しました。


 ネズミの国だけに?アメリカのディズニーランドに住みついた野良猫たちとそのサイドストーリーより。

追記:2015年10月02日
現在、アナハイムは 猫が原因とみられる皮膚疾患が確認されたため、TNR(野良猫を捕獲して去勢・避妊ご元の場所に戻す)と餌やりが禁止されたそうだ。
違反すると罰金及び禁固刑となり、 ディズニーランドの猫は全頭根絶されることとなったようだ。




(参考資料)

Feral Cats of Disneyland, Anaheim, Prevented from Being Fed 「アナハイムのディズニーランドの野良猫 連邦政府による防止」。

As of Jan. 1, 2015, per Anaheim City Code: COD2015-01329, it is illegal to feed feral cats – not just at Disneyland, but all over the Southern California city.
And the feral-feeders who spend time caring for these cats to the best of their abilities think so too – especially because many have been threatened with fines and jail time if they don’t stop caring for these helpless creatures.

2015年1月1日現在、アナハイム市条例コード:COD2015-01329に基づき、ディズニーランドのみならず、カリフォルニア南部の全てで野良猫へ給餌することは違法です。
そして、これらの猫のために、最大限の努力をして時間を費やしている、野良猫の給餌者(TNR活動家)は、これらの無力な生きもの(野良猫)の世話を止めなければ、多くの人が罰金と刑務所での懲役に脅かされることになります。

「大学猫」は是か非か~福井大学でのトラブル



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Domestic/Inländisch

 日本では、構内で地域猫的活動をしている大学がかなりあるようです。「キャンパス猫」、「大学猫」という名称で、大学から給餌やTNR活動の許可を得て、サークルができているところもあります。一方では大学の許可を受けていないところもあるようです。さらには、大学が構内での給餌などの地域猫的活動を禁じる方針を示し、トラブルになったところもあります。「大学猫は是か非か」。海外の事例も踏まえて考察してみたいと思います。


 サマリーで示したとおり、近年では「大学猫」なる活動が、大学の許可を得ているもの、許可を受けているかどうか不明なものも含めればかなりの数になります。サークル活動として行っているものもあります。「大学猫」で検索してみれば、多くの大学猫がヒットします。
 ざっと・慶應義塾大学、・立命館大学、・福島大学、早稲田大学、信州大学、長崎大学などがヒットします。比較的学力の高い大学が多く、私は日本の大学生の知力が劣化しているのではないかと心配です(笑い)。いくつか、大学猫のHPを閲覧しましたが、かなりアメリカなどの海外事情の誤った記述も見られます。一方では、大学側が構内の猫への給餌などを禁じ、トラブルになった福井大学があります。


(画像)

 「第三回 大学猫シンポジウム」(2016年12月22日開催)。各地の大学が意見交換など交流しているようです。こちらでは、・岩手大学、・大阪府立大学、・早稲田大学、・京都大学、・筑波大学、・岐阜大学、・福島大学、・立命館大学、・長崎大学、・名古屋大学、が参加しています。今年は福島大学で開催されます(学生と『大学猫』...共に生きよう 福島大で野良猫の命守る活動)。

大学猫


 一方、福井大学ですが、先に述べた通り、大学が構内の猫への給餌などを禁じトラブルになりました。その措置に対して、「署名活動」などの反対活動が行われました。大学側は、おそらく給餌などの禁止措置を撤回してはいないようです(その後についてはネット上では情報はありませんでした。ご存知の方はコメントください)。そのいきさつを報じる、ニュースソースから引用します。福井大学がキャンパス内の猫の世話を禁止、猫たちの未来は。2015年5月30日。


チャールズ・ジャヌッツイ氏は25年間、彼が勤める大学敷地内に暮らす野良猫の繁殖抑制に取り組んできた。
しかし現在、大学側との対立を余儀なくされている。
キャンパス内にいる野良猫への餌やりやその他の世話の一切が禁じられたため、ジャヌッツイ氏はインターネット署名を開始した。
ジャヌッツイ氏は、福井大学文京キャンパスで長年准教授を務めてきた。
それはTNRと呼ばれる、野良猫を捕獲(Trap)して去勢(Neuter)を施した後、元の場所に戻す(Release)活動を実践している。
「大学側は現在、キャンパス内での猫の餌付けを一切禁じ、私にも活動をすべて止めるように言い渡しました」。
このように地方のあちこちに野良猫が多く住みついてしまった問題の一因として、日本のペットビジネスが巨大化したことが挙げられる(*1)。
飼い主としての責任をしっかり理解しないままに猫を購入する人の多さをジャヌッツイ氏は指摘している。
日本で捨てられるペットが増えてしまった重要な要因として、未然防止策である画期的なTNRよりも、ガスによる安楽死が数をコントロールするために使われていることにある(*2)。
ところが日本でもTNRの方が動物の数を抑制するには効果的だと実証した地域がある(*3)。
神戸とその周辺地域は1995年に大震災に見舞われた。
飼い主のいなくなった無数のペット、それに加えてTNRへの認識や援助が希薄だったこともあり、神戸では10年あまりで野生化したペットが爆発的に増加してしまった。
そこでアニマルレスキューシステム基金は、2006年、神戸市に不妊去勢専門クリニックを開設した。
その後6年で、同市では捕獲されガス室行きとなった子猫の数は激減している。
香取章子氏は日本の動物を取り巻く問題を扱うフリージャーナリストで、今回の問題については以下のような見解を述べた。
キャンパス内での地域猫活動は時代の流れ。
これに逆行するようなことを主張するとはナンセンスです。



 この記事も、愛誤の偏向が著しいですが。ざっと以下に反論しておきます。

*1、「地方のあちこちに野良猫が多く住みついてしまった問題の一因として、日本のペットビジネスが巨大化したことが挙げられる」。

2016年の日本の飼育猫のうち、純血種割合はわずか15.1%です(主要指標 時系列サマリー 純血種、雑種の割合、及び主な飼育場所 )。
ペットショップでは、雑種猫は売っていません。
したがって、「ペットビジネスの巨大化」が野良猫増加の第一の要因とは考えられません。

*2、「日本で捨てられるペットが増えてしまった重要な要因として、未然防止策である画期的なTNRよりも、ガスによる安楽死が数をコントロールするために使われていることにある」。

TNRマネジメントで先行したアメリカでは、人口比で数十倍の犬猫を殺処分しています。
アメリカにおいても、今でも複数の州でガスによる犬猫殺処分を行っています。
またTNRは、野良猫の繁殖抑制効果はないと、複数のアメリカ連邦政府機関も公式に声明を出しています。
TNR活動を行えば、むしろ「捨て猫が増える」と、アメリカなどの多くの論文が指摘しています。

*3、「日本でもTNRの方が動物の数を抑制するには効果的だと実証した地域がある」。

「殺処分数の減少」は、動物(野良猫)の数の抑制効果を示すものとは言えません。
保健所が引取り拒否をすれば殺処分数は減ります。
殺処分数の減少は全国的な傾向で、TNRの推進とは相関性は認められません。


 また引用した記事、福井大学がキャンパス内の猫の世話を禁止、猫たちの未来はでは、「キャンパス内での地域猫活動は時代の流れ。これに逆行するようなことを主張するとはナンセンスです」ともあります。確かに日本では、環境省が地域猫を推奨していますし、大学内での地域猫的活動が増加傾向にあるようです。
 では、福井大学の構内で地域猫的活動をしている、チャールズ・ジャヌッツイ准教授の出身地、アメリカ合衆国ではどうなのでしょうか。実は、アメリカ合衆国では例外なく(TNRマネジメントであっても、私有地内であっても)野良猫への給餌を禁じている自治体が数多くあります。また、処罰も大変厳しく、最高で懲役1年と罰金の併科を科す自治体すらあります。懲役90日と罰金の併科でもって、野良猫への給餌を禁止する自治体は数多くあります。そのような自治体ではもちろん、大学構内での餌やりはできません自治体内の教育施設での野良猫の給餌を全面的に禁じているカリフォルニア州の自治体もあります。
 さらに、構内での餌やりを禁止し、ペストコントロール(害獣駆除業者)を巡回させ、野良猫を捕獲し、行政のアニマルサービスに引き取らせている(大方は殺処分される)、フロリダ州立大学などの複数の大学があります。次回記事では、それらについて書きます
(続く)。

近隣の庭にいる飼い猫を射殺したハンターの処罰は600スイスフランの罰金(日本円で約6万8,000円)~スイス



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(Zusammenfassung)
Katze «Wuschel» im Garten erschossen: 600 Franken Busse für Jäger
Die Staatsanwaltschaft hat den Beschuldigten zu einer bedingten Geldstrafe von 20 Tagessätzen und einer Busse von 600 Franken verurteilt.
Weil Katzen mit Wildtieren verwechselt werden, fordern Tierschützer härtere Gesetze für Wildhüter.


 「欧米先進国に比べて日本では動物虐待の罪が軽すぎる」という情報が、野良猫殺害事件の度に拡散されてます。では実際はどうなのでしょうか。例えばドイツでは野良猫(無主物、ないし無主物とみなされる非占有犬猫も含む)の殺害に対する、刑事処罰の規定はありません。非占有の犬猫は狩猟法により通年狩猟対象です(ドイツ16州のうちノルトライン=ヴェストファーレン1州のみ野良猫の殺害を行政罰で処罰する規定があります)。狩猟法に則れば、無主物の野良犬猫の殺害は合法です。スイスも同様に、野良猫(無主物、ないし無主物とみなされる非占有猫)は、悪性外来種としてアライグマなどと同様に、通年狩猟駆除が推奨されています。さらに、飼い猫の殺害においても処罰はこれらの国では概して軽いです。スイスで、近隣の庭にいる飼い猫を射殺したハンターの処罰は、略式の600スイスフランの罰金刑でした。


 スイスで、近隣の庭にいる飼い猫を射殺したハンターの処罰は600スイスフランの罰金が科された、という事件がありました。日本円に換算すると、約6万8,000円です。スイスの物価が日本の約倍ということを考えれば、日本では、3万円台という感覚です。
 その事件を伝えるニュース、Katze «Wuschel» im Garten erschossen: 600 Franken Busse für Jäger 「庭で射殺された『ヴシェル』:ハンターの処罰は600スイスフランの罰金でした」(複数のビデオ有り)。2016年3月14日、から引用します。


Der Strafbefehl gegen den Jäger, der im Oktober eine Katze erschoss, liegt vor.
Die Nachricht hat im Oktober mehr als ein ganzes Dorf schockiert.
In Schupfart erschoss ein Jäger die Katze «Wuschel», als sie sich sonnte – im Garten des Einfamilienhauses der Besitzerfamilie.
Der Jäger hatte die rötliche Katze für einen im Quartier gesuchten Fuchs gehalten und abgedrückt.
Die Staatsanwaltschaft hat den Beschuldigten zu einer bedingten Geldstrafe von 20 Tagessätzen und einer Busse von 600 Franken verurteilt.
Dass er fahrlässig die Würde eines Tiers missachtet und ihm Schaden zugefügt hat (fahrlässige Tierquälerei).
Andererseits, dass er nicht berechtigt ein Haustier ausserhalb des Waldes abgeschossen hat (Widerhandlung gegen das Jagdgesetz).
Fiona Strebel, Mediensprecherin der Staatsanwaltschaft, betont allerdings: «Der Strafbefehl ist nicht rechtskräftig.

10月に猫を射殺したハンターに対する、略式命令が出されています。
そのニュースにより、10月に村全体は大きなショックを受けました。
シュプファルトでは、飼い主の家の庭で飼い猫、ヴシェルが日光浴していたのですが、ハンターが射殺したのです。
ハンターは赤っぽい茶トラの猫を、近くで探していたキツネと思い込んで、銃の引き金を引きました。
検察からは被告のハンターに対して、20日間の保護観察期間と、600スイスフランの略式命令の罰金を求めています。
ハンターは過失により、動物の価値を傷つけ、それを害しました(過失による動物の虐待行為)。
一方では、ハンターは、森林以外(住宅地)で、ペットを射殺することは許されませんでした(狩猟法違反)。
フィオナ・ストレーベル(Fiona Strebel)検察庁広報担当官は、「この略式命令は最終的に決定したものではありません」と強調しています(註 ハンターが控訴すればさらに軽くなる可能性がある)。



 スイスのこの事件では先に書いたとおり、住宅地の、飼い主の所有地の庭にいる飼い猫をハンターが射殺し、そのハンターの処罰が略式命令での罰金600スイスフランでした。この罰金額は、日本円に換算すると約6万8,000円です。しかしスイスの物価が日本の約倍ということを考えれば、日本では、3万円台という感覚です。日本人の感覚としてはいかにも軽いという気がします。仮に猫を撃たなかったとしても、住宅地で庭に銃弾を撃ち込まれるのは危険です。日本ではおそらく同様の事件では、自由刑(懲役、禁錮刑)が科されると思います。
 日本では、野良猫の殺害事件があるたびに、「日本は動物虐待の罪が欧米と比べて軽すぎる」という意見が噴出しますが、私が知る限り、ドイツ文化圏では動物虐待に対する処罰は日本と比べて概して軽いです。自己所有の飼い犬猫の殺害で、数百ユーロ(日本円で数万円)から1,000ユーロ台(数十万円)です。刑事訴追されないことも多いですし、無罪になることもかなりの頻度であります。他者が所有している動物の殺害ではそれよりはやや重く、例えば、リードにつないで散歩していた犬を射殺した事件では、ハンターは4,000ユーロ(約52万円)の罰金が科されました。

 さらに、ドイツ、オーストリア、スイスでは、犬猫(スイスは猫のみ)は人の占有下になければ、動物保護法(Tierschutzgesetz)ではなく、狩猟法(Jagdgesetz)が適用され、通年狩猟対象となります。ドイツ連邦法では、人の占有下にない、野良猫などの殺害そのものを処罰する規定はありません。ドイツの全ての州の内、ノルトライン=ヴェストファーレン州のみが州狩猟法で猫の殺害を禁じていますが、最高で行政罰の過料5,000ユーロ(日本円で約65万円)が課されます。
 したがって、野良猫の殺害事件のたびに繰り返される、「日本は動物虐待に対する処罰が軽すぎる」を根拠とする、犯人に対する厳罰署名はまさに正反対であり、署名発起人の無知をさらけ出したものと言えます。それに同調する賛同者やコメント投稿者しかり。広く世論に呼びかけを行うのであれば、根拠とする情報は正確であること、その責任があると私は思います。


(画像)

 Katze «Wuschel» im Garten erschossen: 600 Franken Busse für Jäger 「庭で射殺された『ヴシェル』:ハンターの処罰は600スイスフランの罰金でした」のビデオかのスクリーンショット。射殺された猫の死体。その他にも、猫の飼い主の家の窓に散弾が当たって割れている様子が写っています。

Jäger in Kritik: Weil Katzen mit Wildtieren verwechselt werden, fordern Tierschützer härtere Gesetze für Wildhüter.

批判にさらされているハンター:猫は野生動物と混同されているので、動物保護活動家は、野生動物を狩猟するハンターに対する厳しい法律を求めています。



スイス 猫 射殺


(画像)

 「ドイツでは野良猫の殺害が懲役10年以上になる」という、抱腹絶倒な情報を拡散しているツイッター。ドイツでは、野良猫(無主物)の殺害が「懲役10年以上になる」どころか、野良猫(無主物)の殺害そのものを刑事処罰する法的根拠がありません。唯一、ノルトライン=ヴェストファーレン州のみが非占有猫(野良猫)の殺害を州狩猟法で禁じていますが、罰則は最高で5,000ユーロ(日本円で約65万円)の行政罰(過料)です。

Bundesjagdgesetz 「ドイツ連邦狩猟法」

ドイツでは、仮にその猫が飼い猫だと認定されたとしても、保護動物の殺害の最高刑は懲役3年までです。
したがって「懲役10年以上」はありえませんし、判例も皆無です。
刑事罰は法定刑が上限だということはどこの国でも普遍的な法理であり、一般常識だと思っていましたが、このツイッターには大変驚きました。

Strafe

Straffestsetzung und Strafmaß
Das Strafmaß(Deutschland: Strafzumessung, Österreich: Strafbemessung) .
Die im Einzelfall schuldangemessene Strafe stellt die absolute Höchstgrenze dar.
Eine Nichtbeachtung der gesetzlichen Vorschriften bei der Strafzumessung kann Revisionsgrund sein.
判決と刑
犯罪と処罰(ドイツおよびオーストリア)。
判決においての処罰可能な刑の上限は、法定刑(=法律で定められた刑)が絶対的な限度です。
刑の判決において、法定が法の要件に違反した場合(=法定刑を超える場合)は、控訴することが可能です。


Bundesjagdgesetz 「ドイツ連邦狩猟法」

23条で、犬猫(非占有)の通年の狩猟駆除を推奨しています。
犬猫の殺害そのものに対する刑事罰は規定されていません。
狩猟免許無資格での犬猫の狩猟(殺害)は、最高で行政罰(過料)5,000ユーロ(日本円で約65万円)。

 猫吐爵さん、分かりましたか。お友達のドイツ人弁護士に、このリンクを教えてあげてくださいね。それにしても根拠のないガセネタ情報を鬼の首を取ったように拡散する愛誤な人たちもどうかと思います。それこそが、日本の動物愛護が世界で最も遅れている証拠でしょう。

猫伯爵

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プロフィール

さんかくたまご

Author:さんかくたまご
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1959年生。
大阪府出身、東京育ち(中学は世田谷区立東深沢中学校、高校は東京都立戸山高校です)。
現在は、兵庫県西宮市在住です。
一人暮らしです。

趣味はクルマをコロガスこと(現在のクルマは4代目のメルセデスベンツです。ドイツ車では5代目)、庭での果樹栽培、家の手入れ掃除です。
20歳代前半から商品先物、株式投資をはじめ、30歳で数億円の純資産を得るが、その後空売りの深追いで多くを失う。
平成12年ごろから不動産投資を行い成功、現在50数戸を無借金で所有。
不動産投資では、誰も見向きもしなかったキズモノ、競売物件などをリノベーションする手法です。

・座右の銘は「人の行く裏に道あり花の山」
・好きな生き物 メジロ
・尊敬する人 ガブリエルシャネル(シャネル社創業者)
・好きな言葉 Das Beste oder nichts「最善か無か」。ダイムラー・ベンツ社の企業理念。私自身は何事も中途半端でいい加減です。ですからこの言葉に憧れます。

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